■SFやファンタジーにおいて、その物語の舞台となる世界観のオリジナリティや独創性を決定的なものにするものがある。それが【技術系設定の独自性】である。
魔法、魔導、超能力、異能力、社会ルール、超常現象、そして、ハイテクノロジー……それらにおいて他の作品に類を見ない独創性溢れるものをたった1つだけでいいから、見つけて物語の中に持ち込むことができたなら、その作品が生み出す〝個性〟は絶対的なものとなる。それだけ物語を進めるにあたり〝設定〟と言うのは極めて重要になるのだ。
■そして本作品。この作品の中で独自性を絶対づけているのが【スール】と呼ばれるハッキング能力である。しかしこのスール、ただのハッキングではない。ハッキング対象となる端末そのものを構成する異空間へと入り込み想像を超えた異能力バトルを繰り広げる。そして、このスールという設定の独創性が恐ろしく振り切れているのだ。
■この作品の中において舞台となる日本は明らかに宇宙文明から未開人扱いされるほどに立ち遅れている。それゆえに地球の人間の当たり前の生活は完全に脅かされている。そしてここにスールを駆使する人物たちがいる。彼は【英雄】と呼ばれていた。彼らの存在が地球の人々の生活を守る最後の一戦となっていたのだ。
■独創性溢れる設定に支えられた世界観が素晴らしい作品である