退廃的な世界観。不可解な事件。自分を殺した犯人を追う探偵。
- ★★★ Excellent!!!
探偵のサカイのもとに舞い込んだのは奇妙な調査依頼だった。自分の女だと思っていたユミがルミと名乗り、サカイ自身の捜索を依頼したのだ。何かのイタズラかと思うサカイだったが、しばらく帰っていなかった自分のアパートで、自分そっくりな死体を発見し……。
三途の川で石を積み、メイドにその石を崩される冥途カフェを皮切りに、いかがわしい肉を売る精肉店、全裸になって暴れる爺さんなど、作者ならではの退廃的な世界観を示す描写が光る。
その中で、比較的まともに見える探偵・サカイだが、本当にまともなのか。
謎が謎を呼び、その謎を退廃的かつ変質的な物語が上塗りしていく。事件の全貌と探偵の過去はどう関わるのか。ハードボイルドにして猟奇性が暴走を続けるサスペンスミステリー。