本当に大事な物は、目には見えないものなのです

 昔、読んだ童話に出て来た言葉が浮かびました。

 本当に大事なものは目には見えない…つまり、どれだけ伝えたがっても、文字や言葉では伝わらない。

 そう考えて読んだ時、やがて死に至る幸福とは何かがわかる気がします。

 何も考えずに読むと、割と身勝手な話だと感じるかも知れません。

 竜の呪い、それに至る原因、経過…そして結末…その全てに、「個人の都合」というものを感じずにはいられません。

 しかし作中で、それを責めるシーンは一切ないのです。

 それを、独りよがりな愛情という事も可能かも知れません。

 言葉で、また文字で、「目に見えるもの」で伝えられる事だけでは「何て酷い」と思う人が出ても仕方がないとも思います。

 しかし私達は読者です。読者は、作者が登場人物から託された想いを表現してくれています。

 目には見えない「気持ち」という部分を考えると、私はこの登場人物に対し、一言しかいえません。

「何て眩しくて、猛々して、可憐な、幸せな人生なんだ」

その他のおすすめレビュー

玉椿 沢さんの他のおすすめレビュー242