水槽の中に、生態系がある。水槽の横には、チベットスナギツネ。

ある日突然、家族が「熱帯魚を飼いたい」と言ってきたら、どうしますか? やはりこのエッセイの作者様と同様に、チベットスナギツネみたいな表情になってしまうのではないでしょうか。

夫の熱意に押し切られる形で始まった、アクアリウム。
なかなか安定しない水質、適正飼育量の見極め、増えゆく水槽(は?)、そしてお魚やエビの相性と様々な病気。次から次へと生じる問題に四苦八苦する夫の姿を、横からぬるく眺める妻……のお話です。
眺める目線はぬるくとも、そこには旦那様やお子さんたち、また新たな家族となった水槽の住人たちへの愛情が感じられ、読んでいてフフッと笑みがこぼれます。
生き物を飼うことの難しさ、その責任についても改めて考えさせられます。
アクアリウム経験者には「あるある!」、未経験の方には新たな世界に触れる機会になることでしょう。アクアリウム自体に興味がなくても、作者様のユーモアあふれる軽快な文章に引き込まれてしまうこと、請け合いです。とっても面白いですよ。

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