前を向き振り返りもして

 一筋縄ではいかない作品だった。

 作者は、主人公や周囲の人々の人生観を主人公の恋愛(というには危なっかしすぎてひやひやするが、まあ恋愛は恋愛だ)を通して余すところなく描ききっている。

 誰にとっても人生は細かくでこぼこしているものだが、互いに寄り添い合ったり離れたりする中で自らの過去来歴を逃げずに受け止めていく様子はとても共感できたし好意を持てた。

 清々しくもあり、苦々しくもあり。主人公の気持ちに一喜一憂しながら頁をめくる物語だ。

 必読本作。

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