シロガネ　～ストリートゴーストは電子と踊る～

　高校時代、窓際の席で遠くを眺めていた意中の少女は、殺人の罪を犯してこの世の記憶と履歴から存在ごと消え去った。
　環境共存型社会および人間拡張型社会が浸透し、情報化を越えた電脳化技術が開発されつつある時代。ディスプレイ一色の高層ビルの森が陽光で輝き、歴史と伝統の影が残る混沌の都市は今日も眠らない。
　殺人の一件から二年後、地方の通信設備業で働く赤松圭一郎は、二十歳の誕生日に職場仲間と酒で酔いつぶれた翌日、頭痛と共に視界がおかしくなっていることに気づく。それが、世界を滅ぼしかねない事態へと発展していくことも知らずに。
　不可視にして不可解な現象「GHOST」を研究する電脳屋シロガネの下で、赤松は自身の"異常"の治療と、消えた少女との再会を果たすため、試験的電脳都市「寛和区」を駆け巡る。