善意の人〈現代ファンタジー〉【#疾走! 背脂パンダ】

 カクヨムのお友達 仁志水ぎわ様 イベント参加作品です。

冒頭のみ共通の文章を使って作品を作ろう! 参加してみました。笑


https://kakuyomu.jp/users/matsuko0421/news/16816700427799112819


誰でも参加出来るんですって。背脂パンダさんについてはあまり存じあげませんが、水ぎわ様はお友達ですので、ワタルたちと遊びに行ってきました。


🐼  🐼  🐼

 パンダは走っていた。白と黒の毛並みが風に流れてゆく。

息が上がる。目の前がゆがむ。しかし止まれない。なぜなら背後から―――


 小さいおじさん族が追いかけていたからだ。


「何があっても捕まえるのです! 必ず、必ず捕まえて……」


 息を切らしながら黒執事のハルクが虫取り網を振り回している。ハルクさんとは、あいるんクリニックから派遣された優秀な執事だ。普段はスモールG商事の会長秘書もしている。


「ハルクさん、そんな網では捕まりませんよ。捕まえてもすぐに破れてしまいます。ここは私に任せてください」


 ミツルはそう言うと、背中の羽根をパタパタさせてパンダを追いかける。


「ミツルさん、全速力で追いかけろ! 落とし穴をすでに三つ仕掛けてある。そこに追い込んで落とすんだ!」マサルが叫ぶ。


───ドスン、ゴロ。ベチャ。からのギョエー! パンダの悲鳴。


 聞いたことのない音と悲鳴が森中に響き渡った。ベチャって何? 落とし穴に落ちたよね。けどベチャって何? 大事な保護動物パンダだ。ケガしないように落とし穴には藁を敷き詰めているはず。


「おお! これは、もしかしてこれは!」白衣姿に変身しているサトルが、パンダの周りをパタパタしながら、驚きの声を上げた。


 パンダは鼻を押さえて転げ回っていた。ワタルの攻撃を受けたに違いない。可哀想に涙目だ。


「これ持って帰ろう思って。ラーメンに入れたら旨いと思いやす!」


案の定、ワタルは何かをゴムに詰めている。まさかの背脂。知らんけど。


「さあ、みなさん、こちらのパンダ様をコルヌイエのスイートルームに運びます。このパンダ様について、詳しい事をお話しいたしましょう」


 黒執事ハルクはそう言うと、ニンニンからのドロンをさせた。ぱんなこった教の教祖さま直伝の忍術である。(ともはっと様)



🏨  🏨  🏨


 小さいオジさん五人が見守る中、ハルクは説明を始める。背脂パンダ様はふかふかのベッドで横になっておられる。ビーフリーになった背脂パンダ様。


「ビーフリー! 素晴らしい!」パンダ様が背伸びをする。

「ビーフリー! 新しい朝陽が昇るような笑顔……見せてよ!」


 カラオケ好きのミツルが鼻歌。アメ様しか分からないかもの歌を歌う。ハルクはシッと唇に指を当てて、パンダ様に注目するように言った。

 

「こちらのパンダ様は私と同様、あいるんクリニックのあいる様に大事にされているパンダ様です。カクヨム村に生息し始めたのは2018年6月。童話やエッセイ、恋愛小説など心温まる作品を残してこられました」


 小さいオジさん族はみんな拍手👏。


「それだけではありません。星都というデバネズミがパンダ様の作品、『キスを待つ頬骨』をずっと鎖骨と、そうと読み間違えていても怒らなかった寛大な方です」


「恥骨じゃなくてよかっ」バシッと叩かれるワタル。マサルの竹刀攻撃は早い。


「誰にでも優しく、公平で、水ぎわ酒場に来た全ての人を癒す力のあるパンダ様です。コメント返信にはめちゃくちゃ愛がこもっていて……グスン。パンダ様が復活したのです! 戻って来られました! 皆さま拍手でお迎えください!」


 このあと、ルームサービスでご馳走を注文し、パンダ様のお帰りなさい会が開かれた。みんな笑顔で背脂パンダ様を迎え入れた。


水ぎわさん、お帰りなさい。いつもありがとうございます😊


『善意の人は好意を得る。自分のパンを寄るべのない者に与えるからである』

箴言22章9節

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る