厨子の祝宴

作者 武州青嵐(さくら青嵐)

連綿と引き継がれてきた因襲には、隠された秘密がある。黯い過去の秘密が。

  • ★★★ Excellent!!!

誰にでも、忘れがたい苦しみがある。
これからを生きる足取りが、重く沈んでしまうほどの。

閉ざされた過去の罪業が黯く渦巻く村。
そこには、謎めいた厨子が祀られている。
村全体で大切にされているものの、それは四年ごとに六つある本家筋である当番家を定められた順番で廻されており、その時期ごとに祝宴を催して飲めや歌えや大いに食らえの祭事を揃って行う。一見、祝宴がメインのようですが……。

中を見てはならないとされている厨子。
村の境に配置された当番家。
岩を標とした合祀塚。
唯一の女系の家、七塚。
因襲を繋ぐ家。忘れた家。放棄しようとしている家。守り続けている家。何も考えずに諾々と参加する家。恐れ慄くだけの家。

そして。
その犠牲者が……。

続けられてきた儀式を途絶えさせたとき。
恐ろしい、〝禍事〟が起こる。
七塚家の次期当主・志摩と、その従兄・奏斗は、怨嗟渦巻く怨念に共に立ち向かう!

──と、書くと、めちゃくそコワいんですけど。

志摩りんと奏斗っちったら、ねぇ。
いちいち、しばしば、ちょいちょいと、イチャイチャしだすんですよ? もう。
最初は互いに無自覚なんですけど。
読者たちは、このじれじれラブい同棲ちっくな日々の諸々に一喜一憂ですよ。コメント欄がピンクとピンクとグレーのマーブルですもん。
下着風呂だの、エア旦那だの、理性チャレンジ2021だの、まぁあーサロンの精鋭メンバー様方が放つパワーワードが逐一炸裂しております。そうです。コメント欄、要チェックです。カクヨムが誇る綺羅星のような才能が集まっています。

なので。
最初から最後までホラー&ラヴコメディなのです。

それでいて。
人間が人間と生きていくこととは。
人を愛するという言い分は執着を正当化することではない。
そういった、深い教えも根を張っている良作です。

全38話。
長いようで、あっという間でした。完結済みですので、「待つのツラいの」派の方は今こそ、どうぞ‼︎

あ、そうだ。ここでするのも一寸よろしくないかもしれないなと思えなくもないことなんですけど、青嵐先生。
ひとりだけ自業自得懲罰もれしてる1名に対して志摩りんを愛でる会の会員としては許しがたいと妄想を拗らせている身としては。
短編で描いていただいて「ざまぁー‼︎」を体感したいと欲深な望みを抱いておりますと乞うしかないのであります。
是非、これまでの作品で感じたカタルシスを、こちらでも味わいとうございます。
以前、別作品で近況ノートのSSから番外編にまでなった前例に味をしめてしまっておりますことを申し添えまして、伏してお詫びしつつも、お願い申し上げるものであります。あれ、これレビューだよね。うん、レビューのつもりなんですけどダメですか。結構、同じことを望んでおられる読者さま方がおられると思うのですけどダメですかね、えぐえぐ。


いやもう、ほんと、読んで!
コワい話は苦手って方こそ大丈夫だから読んで!

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★★ Very Good!!

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