何百年も続く掟が破られる時、大きな恐怖とラブが動き出す。

都会から離れた山奥にある、小さな村。そこにはある風習があった。
それは四年に一度、村に伝わる厨子を移動させるというもの。厨子は四年ごとに六家と呼ばれる家を回り、大切に保管されてきた。

こういう不思議な風習って、田舎に行けば結構残っていますよね。
この行事のために村を訪れたのが、主人公の志摩。
教師をやっていたけど現在休職中の彼女は、母の実家であるこの村で、親戚の奏斗と一緒に行事を進めていたのですが。村の一人がこんなことを言い出したのです。
色々と面倒だから、もう厨子を移動させるのは止めにしないか、と。

確かに面倒なのはわかります。けど何百年も続く風習を、そんな簡単に止めちゃって良いの?
しかし志摩や奏斗が反対するも、とりあえず厨子は移動させずに置いておくことに。
しかしその日以来、村では奇妙な事件が立て続けに起こるようになるのです。

だ~か~ら~! 昔からの風習を勝手にストップしちゃダメでしょうが!

志摩の周りでも奇妙な現象、恐ろしい出来事が起き、もうビクビクしながら過ごさなければなりません。
しかし幸いだったのが、彼女の側には奏斗がいたこと。どんなに怖い目にあっても、近くで支え、励ましてくれる人がいるって素敵ですよね。
怖いだけでなくこの二人の関係も、本作の大きな見所。親戚故に距離が近いですけど、何だか良い関係の志摩と奏斗から、目が離せません。

ただ、ね。この志摩ちゃん、実は少し天然な所がありまして。奏斗を動揺させちゃうような、誘っているようにしか思えない際どい言動を、度々しちゃうのですよ。
本人にしてみれば親戚ならではの距離の近さがあるからこそ、奏斗を異性として意識していないからこそ取れる態度なのですけど。奏斗の理性がガタガタになりそうな事言い過ぎ! これじゃあいつか襲われたって文句言えませんよ! 奏斗泣いてるよ!
だけどそんな近い二人の距離感は、やっぱり好きです!

田舎で起こる、恐怖あり、ラブありの怪事件の、結末やいかに!?

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