若い女性が和菓子店の三階で住み込みで働く。
店主は若い男性。
えっ、これロマンスが始まるやつじゃない?
なんて浮かれた頭で読んではいけません。
私は忠告しましたよ。あのね、そういうお話じゃないから。
住み込みで働くって書きましたけど、和菓子店でじゃないのです。そこに暮らしてるおばあちゃんの見守りです。しかもそのおばあちゃん、見守りが必要ということはですよ。
そうです、認知症なのです。要見守り。
とはいえ、日中はデイサービスに行ってますから、見守るのはその帰宅後。お店が閉まるまでの数時間です。数時間ではあるのですが、このおばあちゃん――ルイさんなんですが、ちょ――……っとばかし癖が強い。すみません、ちょっとじゃないです。かなり癖が強い。
さらに厄介なのが、ルイさんの通っているデイサービスの職員です。主人公である摩利さんは元地域包括支援センター職員。要は、同業者。何だ、話が通じて良いじゃん!って思ったかもしれません。実際、そういうパターンもあると思うんですよ。同業者だからこそわかる辛さとかね、そういうのもあるかもだし。
ですが、そうはならなかった。
「何よアンタ、ちょっと介護かじってるからってこっちのやり方にケチつける気?!」ってなもんで、敵意ビンビン。もちろんそれが後にシャレにならない事態を引き起こしたりも。
そこかしこになんとなーくラブの香りがするような気がしないでもないというか、ほんと、ほんとにね、「あれ?いまちょっとふわっとラブの香りしなかった?一瞬漂って来たよね?」みたいなのはあるんですけど、はっきり言って、そんな場合じゃない!ラブってる場合じゃない!そんなことより、とんでもないことが起こりまくるんだが!?
ホラー部はマジで怖いんですけど、それ以外の部分はちょっとほんわかしたり、うっすら香るラブに期待したりと、何とも読み応えのある作品です。
ただマジで気を付けろ。
ホラー部は怖い!
介護×ホラーと書くと、重苦しいイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが……。
それを救っているのはきっと、ヒロインである摩利さんのしなやかな強さだと思います(*´▽`*)
なんと言っても、前職を辞め方が、理不尽な横暴上司にファイルを叩きつけてですからっ!( ゚Д゚)ノ
が、そんな辞め方だけに、すんなりとは次の職は見つからず……。
困り果てていた摩利さんに手を差し伸べたのが、中島和菓子店の若きイケメン店主・護さん。
護さんは認知症のお母さん・ルイさんから目が離せず、かといってお店を開けないわけにもいかず、さらには介護を嫌った婚約者にも逃げられ、疲弊しきっていたのでした……。
元福祉職員の知識を活かし、気難しいルイさんにも気に入られ、穏やかな日々が続くかと思いきや、護さんの元婚約者が和菓子店を訪ねてきたところから、何かが狂いだし――。
ホラーで恐ろしいのだけれど、作者の青嵐様のあたたかなまなざしに見守られた物語は、最後には胸が熱くなります。
完結したこの機会に、一気読みをぜひどうぞ~!(*´▽`*)
雪山摩利は地元役場の地域包括支援センター職員だったが、センター側の利用者を無視した、あまりにも理不尽な状況に怒り、机に辞表を叩きつけて辞めるしかない状況に陥ってしまう。
無職になった摩利は住むところにも困る状況。それを救ってくれたのが、元利用者の家族で、彼からの依頼で「中島和菓子店」に住み込みで働くことになったのです。
「中島和菓子店」を切り盛りするイケメン店主の中島護。
彼の母中島ルイは認知症を発症している……
このルイの行動が一概に認知症とは言えず不気味なんです。彼女は家や店中に呪物のような紙を貼り、誰も中身を見たことがない壺を大事にしています。
なにかが不気味。
その不気味なトーンがなんなのか、最後まで目が離せません。
ホラー作品なのですが、介護社会の現実も描かれ、そのリアルとホラーが絶妙にマッチしています。
物語はどんどん、どんどん奇妙で恐ろしい展開を見せます。
とくに、ラスト数話は圧巻です。
思わず感動して泣きました。
素晴らしい作品です。どうぞお読みください。
役場で福祉の仕事についていた摩利は、わけあって退職。
そんな彼女の次なるお仕事はの福祉をやっていた頃に知り合った護からの依頼で、彼の家に住みこみ、認知症の進むお母様ルイの見守りをすること。
かつての知識と経験を活かして、摩利の新たな生活が始まるという、福祉や介護について大いに書かれている本作。
ただし、ジャンルは現代ドラマではありません。ホラーです。
認知症特有の変わった行動をとることがあるルイですが、それだけでは腑に落ちない点もちらほら。
彼女が家の中に貼っている紙や、大事にしている壺の中身はなんなのか。
さらに、護の元婚約者が、ルイの認知症が発覚したとたんに婚約を破棄してさっさと別れた元婚約者が出てきたことにより、事態は加速。
再就職した結果、思わぬ怪異に巻き込まれることになった摩利の運命や如何に。
福祉や介護の話としても、ホラーとしても、どちらも大いに楽しめます。
長らく役場に勤めていた雪山摩利は、新しく入ってきた課長と方向性の違いで衝突。退職して、無職になってしまいました。
そんな摩利さんは前職のツテで、中島和菓子店に住み込むことに。
介護が必要な和菓子の大奥様、中島ルイさんを見守ることが、摩利さんの仕事。
ルイさんは認知症をわずらっていて、気難しいところがありますが、はたしてうまく付き合っていけるのか?
しかも、介護だけならまだよかったのですけど、何だかこの家ちょっと変。
忘れちゃいけないのが、このお話のジャンルがホラーだということ!
介護を描いたお話であると同時に、不可思議な怪奇現象。気味の悪い呪いや人間の怖さが描かれていて、ゾクゾクさせられます。
いわくありげな和菓子屋に住み込んで、摩利さんは大丈夫なのでしょうか?
ひんやりするホラーを、お楽しみください。