最初に目を引いたのは、この小説のタイトルでした。そしてそれに付随するかのように、ひらり、ひらり、とワンピースが揺れる描写がところどころに差し込まれるのが印象的。そして各所に儚さを表現する比喩が飾られ、生と死を縁取っている。美しく儚く、死について書かれた作品。読んでいただくことを、強くお勧めします。
読み合い企画から来ました!どうしてこんなにも夏の透明感や鮮やかさ、儚さが表現できるのでしょうか。この作品がもし売られていたら、喜んで買ってしまいそうな勢いです。登場人物の一挙手一投足が、繊細な動きまでもが、今まさに立ち会っているかのように伝わってきました。作者様に感謝を!
死を美化するでも貶めるでもなく、自殺を肯定するでも否定するでもなく、ふわふわとそうでしかない場所へと落ちてしまう、あらがいがたい、運命のような、空気のような、夏の花火の終わりみたいな、なんとなく切なくて、悲しくて、でも生きたことを、生きていたことを、良かったねって言いたい、それだけは肯定したい、そんな気持ちになる小説です。
この物語の魅力を語るのに多弁を弄するのは野暮である。だが書かねば魅力は伝わらない。非常に難しいところである。どこから語ったものか。本作の魅力といえば色々ある。透明感のある文体?寂寥感溢れる世界観?確かにそれもあるだろう。だが、やはり一読してみない事には魅力は伝わるまい。本作には、言語化を拒むような、独特の魅力がある。幸い、本作は短編である。騙されたと思って、一読してみては如何だろうか。口に含めばすっと消えてしまうような、どこまでも儚く、切ない物語が貴方を待っている
自然に、流れるように、彼女が自ら去って行くのを見送る、その様子が静かに美しく描かれた作品でした。止めなきゃだめだ、と口を出す気にもならないほどに、あまりにも滑らかに。僕らは、たとえ美しくなくても、この現実を生きて行かざるを得ないのだけど。そんなことを思いながら読み終えました。
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