自殺支援プロジェクト

作者 新代 ゆう(にいしろ ゆう)

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★★★ Excellent!!!

 生きることは苦しい。自殺していった彼らの意見を覆しえる言葉を残念ながら持っていない。僕だって苦しい。

 だと言うのに何故だかまだ生きている。死にたくないのだ。なぜか。友達?まさか。孤独避けるための人間関係なんかストレスの種でしかない。家族に迷惑をかけたくないと言う理由だけでは弱い気がする。

 死ぬのが嫌なのだ。登場人物も心の底では同じ思いな気がしてならない。傷つく心を持っているのならば死の恐怖もきっとあるだろう。死にたくはないはずだ。

 しかしそれは彼らが自殺することと矛盾しない。望まない行動を取らなければならないことは人生に多々ある。行きたくない飲み会とかそんな感じだ。

 最終話のあと彼らはどう生きていくのだろうか。読者としては彼らが語れるだけの生を謳歌することを願いたい。彼らの人生の結末が語られていないことが唯一の希望なのだから。

★★ Very Good!!

 学校や職場が辛いなら逃げても肯定されるが、人生が辛くて逃げるのは否定されている。

 日本では、死にたいと思ってもその自発的意志に公の裏付けが取れて死ぬことが許されていない。簡単にいうと、安楽死ができない。安楽死に関する刑法をみると、第35条(正当行為)「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」としながらも、第199条(殺人)「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する」、第202条(自殺関与及び同意殺人)「人を教唆若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁固に処す」と対立している。
 なら安楽死はどんな条件で正当な行為となりえるのか。例えばまず1961年の名古屋安楽死事件(『判例時報』324号)では被告を嘱託殺人罪の懲役1年としたうえで、積極的安楽死の大要件を6つ整理した。①不治の病で死が切迫している/②耐え難い苦痛/③死苦の緩和が目的/④(意識があれば)本人の意思/⑤医師が実行/⑥倫理的に妥当な方法、である。一方1991年の東海大学病院安楽死事件(『判例時報』1530号)では被告を殺人罪の懲役2年とし、消極的安楽死の大要件6つとして先程の①~④の他、⑤治療義務の限界/⑥自己決定、を規定した。ここで論点は3つに整理された。Ⅰ自己決定(真意なのか、死ぬ権利は在るか)/Ⅱ苦しみの除去(安楽死を積極的にもたらすか消極的にか、苦しんでいるのは誰か、死にゆく生き方を選択できるか)/生命(治療は延命か救命か、他者が命の是非を判断していいのか、誰が殺すのか)、だ。ということは結局、日本では前提として傷病による苦痛から本人を解放させるうえで、その手続きや方法について考察を続けている。従い、健常者の精神的不安や苦痛からの解放を目的とした甘瞑はそもそも考えられていないのだ。永山基準では、人を四人以上殺害… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

大概の人は死について考えたくないが、人間と生死とは切っても切り離せない。

日本では安楽死は法律で禁止されていて、自殺も推奨されていないが、脳死でそれらを悪と決めつけるのではなく、一度は自分の頭で考えてみてほしい。死にたい人にはその人なりの理由がある。

この作品は、あなたに考えるきっかけを与えてくれます。

★★★ Excellent!!!

「自殺」との距離感を丹念に描いている、そういう印象の受けた作品だった。

本作のタイトルが『自殺支援プロジェクト』というもののため、どこか「自殺」推奨話のように思えるかもしれない。

勿論、読み方によってはそう思えるのだが、本作では「自殺」を無遠慮に肯定も否定もせず、「自殺」というものとの距離感を模索する話に思えた。

それがわかるのがメイン二人の細かな背景や心情描写だろう。二人の死生観、背景の違いは意外と現代の感覚を捉えている気がしてならない。

ずっとどこか心の隅に残っているような作品だった。

Good!

自殺という人がなかなか語れないテーマについて、斬りこんだ本作。

まぁ個人的には、自殺も良しとする主人公が不愉快だった。

自殺応援プロジェクトといっても本当の意味で自殺応援しているのではなく、

生きる人に寄り添う話だと個人的には思った。

まぁ、テーマがテーマだからこういう話だろうなと先が読めるのが残念。

★★★ Excellent!!!

深く刺さる作品です。少なくとも一度でも死にたいと思ったことのある方には。
淡々と人が死んでいくようにみえて、
そこにはそこに至るまでの数多の激情があふれている。
その激情をどちらのメーターに振り切ることが出来るか。生か死か。
生きることと自殺することの差って、実はそのくらいの微妙な差なのかもしれない。
ラスト、主人公はそのメータを生の方に振り切ったのかな、と感じました。

★★★ Excellent!!!

タイトルに惹かれて、この小説を開いていました。
『自殺支援プロジェクト』素敵な作品だと思います。
まず、構成についてですが、起承転結から複線の張り方、文章表現や各話の区切り方すべてにおいて非の打ち所がない傑作でした。

内容についても、☆が三つでは足りないと不平を漏らしてしまうほどでした。
生きることを強要する世界だからこそ、誰もが“死”への恐怖や不安、もしくは希望を抱いてしまう。そんな“死”を選ぶ者を援助するというテーマにただならぬ高揚感を覚えました。
生きている私たちに待ち受ける、“死”という逃れられないエンディングを自ら望む参加者たち、そしてそれに立ち会う少年少女らは、胸に秘めた“生きる意味”を糧に物語を紡いでゆく。

暗闇の中を藻掻き彷徨い伸ばされた手を、引いてあげるのか、繋いであげるのか、それとも振り落とすのか、選べるのは私たち生きている者にしか成しえない。

この作品が、誰かの“希望”になっていくことを強く望みます。

充実した時間を提供していただき、ありがとうございました!
これからの執筆活動も応援しています!

★★ Very Good!!

自殺プロジェクト。
ありがちな設定ですが、そのプロジェクトを中心に動く人間模様と、その心理描写に釘付けにされました。
エピローグのエゴで締め括る場面は、現在のコロナ化で行動を模索する人々と重なり、死に無関心になるなと問われてるように改めて感じさせられました。

★★★ Excellent!!!

短編です。

しかし、伏線があちらこちらに張り巡らされていて、最後には見事に回収されます。

他の方もぽつぽつ発言されていますが、短くてもったいない、と私も思います。

これをプロトタイプに長編化されることを期待します。
(今、作者の方は二つ長編を予定されているので、すぐには難しいでしょうが……)

ぜひ皆さん、一読ください。