これを読んで損をするのなら、それはある意味で幸せなことなのかもしれない

タイトルに惹かれて、この小説を開いていました。
『自殺支援プロジェクト』素敵な作品だと思います。
まず、構成についてですが、起承転結から複線の張り方、文章表現や各話の区切り方すべてにおいて非の打ち所がない傑作でした。

内容についても、☆が三つでは足りないと不平を漏らしてしまうほどでした。
生きることを強要する世界だからこそ、誰もが“死”への恐怖や不安、もしくは希望を抱いてしまう。そんな“死”を選ぶ者を援助するというテーマにただならぬ高揚感を覚えました。
生きている私たちに待ち受ける、“死”という逃れられないエンディングを自ら望む参加者たち、そしてそれに立ち会う少年少女らは、胸に秘めた“生きる意味”を糧に物語を紡いでゆく。

暗闇の中を藻掻き彷徨い伸ばされた手を、引いてあげるのか、繋いであげるのか、それとも振り落とすのか、選べるのは私たち生きている者にしか成しえない。

この作品が、誰かの“希望”になっていくことを強く望みます。

充実した時間を提供していただき、ありがとうございました!
これからの執筆活動も応援しています!

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