自殺支援プロジェクト

新代 ゆう(にいしろ ゆう)

プロローグ

「自殺支援のための、面接ですか?」


 正面に座る少女が、キョロキョロと周りを見回しながら小さい声で質問した。


「うん、そう」


 僕はアイスコーヒーを一口だけ含み、彼女の言葉に頷いた。


「自殺を支援するために面接なんて必要なんですか? カウンセラーじゃないんですから」


 溜息を吐いたあと、彼女は嘲るように言った。


「自殺支援プロジェクトっていうのは名前の通り、死にたい人がちゃんと自殺できるようにお手伝いするんだ。君も、死にたいって思ったこと、一回はあったでしょ?」


 僕の白々しい質問に、彼女は再び溜息を吐く。


「まあ、そりゃあ、つい最近ありましたけど」


 僕はそれに、笑顔だけで返事をした。


 話はいったんそこで途切れたが、換気扇の騒音とカフェの穏やかなBGMが僕たちの気まずい間を埋めてくれているようだった。


「そういえば古谷さんは、なんで自殺支援プロジェクトなんて物騒なことをしてるんですか?」


「物騒とは」


 彼女は「はいはい、失礼しました」と肩をすくめて謝った。その演技じみた動作が、僕の元相棒を彷彿とさせる。


「一応言っておくけど、始めたのは僕じゃないよ。僕には相棒がいたんだ。このサイトを作ったのはその人。僕は彼女から二代目の管理人に任命されたってわけ」


 

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