狐降る夕、君を想ふ

作者 夢見里 龍

曼珠沙華の化身の少女。淡く切ない幻想的なノスタルジー作品

  • ★★★ Excellent!!!

この作品に込められた筆者のアイデアとしてのセンスの美しさは素晴らしいです

筆者は物語の中で曼珠沙華をひとつのテーマとして根幹に取り上げられています。……物語には曼珠沙華に纏わる重要な伏線が美しいアイデアとして作品に美しくもりこまれています。

筆者はまず、曼珠沙華の果てしなく数多くある呼び名の中で、曼珠沙華ではなく、狐花(きつねばな)という呼び名をあえて選んでいます。

線香花火が、華やかに飛び散る様を曼珠沙華(狐花)に見立てて比喩し、きつねはなび(狐花)と、重ねるノスタルジーな思い出。そのワンシーンが映し出されるセンスも美しいものですが……何よりも美しく心がうたれたのは、少女の切ない想いそのものが、曼珠沙華の花言葉に由来していく美しさ、曼珠沙華の花言葉そのものが少女と主人公の関係を比喩しているところにあると感じました。

曼珠沙華の花言葉は、「再会、思うのはあなた一人、転生、悲しい思い出、また会う日まで……」

その隠れた秘めやかな少女の想いが、気持ちを後押しし、少女自身が本当に曼珠沙華(狐花)そのものの化身のように思えてきました。

物語のラストでは少女がまさに狐花(曼珠沙華)の化身であるかのように、華々しく昇華されていきます

筆者の秘めた美しい意図を紡ぐ、曼珠沙華の花言葉を比喩したかのような存在の少女。少女の切ない想いを紡ぐ美しいノスタルジー作品……。

曼珠沙華(狐花)の化身の少女、

忙しい現実の中で、すでに存在しない初恋の少女の記憶を、初恋そのものを忘れていた主人公自身と少女の再会

そこよりおりなす物語は曼珠沙華の花言葉通り、少女の想いそのものが語られてゆくようでした

幻想的なとても素敵な作品です(^_^)

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