詩的な演出から情景を映像的にも連想させる、和の黄泉世界漂わせる鬼退治

著者はしっかりとした文章で、独自の嗜好を詩的な演出と紙芝居のような語りの誘いで、演劇的に物語を描いていきます。この国の昔話や、伝説、言い伝えや、古の理。魑魅魍魎、現実と繋がる別の異世界の情景、そんな世にも不思議な人の心に住まう、心の闇、鬼、忘れていたこの国独特の日本文化の裏の異世界を十二分に感じさせてくれるような、筆者の拘りと嗜好が現れた描写の素晴らしい作品でした。作品はまさに、鬼退治。読者の嗜好が合えば、十分にこの世界観に浸れるのではないでしょうか。先の作品が楽しみですね。