甘酸っぱさを踏み越えた、少しだけ大人の気持ち

中学生の女の子。転校生の男の子。
子どもから大人へ、踏み出そうとする年ごろ。
おや。踏み出そうとすると言ったものの、本当にそうでしょうか。
みんななんとなく、時間の経過とともにいつの間にか大人になったのではと思います。

この土地に住んでいるから。この学校に通っているから。中学生だから。女の子、男の子だから。
『だから』知っているよね。それくらい出来るよね。
というあれこれが、涼子の周りには溢れています。友だちだから協力出来るよね、なんてことも。

自覚もないのに、判で押したように、みんなが同じ色に染まる。転校生のことだけでなく、涼子はずっと違和感を感じていたのでしょう。
知らないこと、やってみないと分からないこと、を抱えた転校生と走り出します。
このシーンがとても熱くて、暑くて、ラストまでを力強く引っ張ってくれます。

青春とひと括りにするにはもったいない、少女の成長物語でした。