第5記:超百科

 最後の施錠を終わらせてから、自宅を離れた。快晴だが、気温は低い。日陰は特に寒い。頭の中で『次元鍋』の文案を練りながら、貸し円盤(DVD)屋を目指した。腹が減っていた。道中に、気になるラーメン屋がある。今日こそ試してみようと思ったのだが、店の前に行列ができていた。

 できていたが、並ぶ時間も根気もなかった。俺は同店を通り過ぎた。空腹のまま、円盤屋に到着。4枚返却し、新たに4枚借りた。観たい作品が多過ぎて困る。店内は混雑していた。商売繁盛、結構なことだ。俺にとっても。


 帰宅後、愛機を再び起動させた。ぴよぶっくを呼び出し、ダブンの編集に没頭した。400次元「無敵の爆弾」を書いた。マンガの感想文的な内容になった。最初は、別のものを書くつもりだったのだが、直前で変えた。今書きたいものを、今書くのが、次元鍋唯一のテーマなのだ。

 次の目標は500次元である。意欲もあるし、在庫も豊富である(但し、筆力はない)。ゴタゴタに邪魔されなければ、年内に到達できるだろう。避けても避けても、面倒どもが寄ってくる。ウンザリだ。いい加減にしろい。


♞1月15日の日記の一部。同ラーメン屋は、この界隈の有名店らしい。俺が行くことはないと思う。嫌いなタイプの店だからである。俺はラーメンを食いに来た。説教や講釈は不要である。


 朝食後、寝室兼居室に戻り、本を開いた。2杯目のコーヒーを飲みながら、ポプラ社の『大昔のヘンな生きもの超百科』を読む。大百科ではなく、超百科。題名も内容も、子供向けだが、俺の頭(ペテン)も子供みたいなものなので、これぐらいが丁度良いのだ。

 今日書くつもりの戦闘場面に登場させる怪獣(のモデル)を探した。同書の94・95頁に載っている「アルマジロスクス」が、俺の興味を惹いた。

 同生物は「ワニの仲間だが、姿や生態はアルマジロに似ていた」らしい。このような不思議な動物が、実際に存在していたのである。

 誰が「アルマジロスクスのデザイン」を手掛けたのか?棲息期は白亜紀後半だから、円谷プロはまだなかったはずである。やはり「進化の神」の造形であろうか?

 アルマジロスクスは乾燥地帯に住み、地面に穴を掘って、家代わりにしていたそうだ。何ゆえに彼らが滅んだのかについては、記されていなかった。


♞1月20日の日記の一部。アルマジロスクスは乾燥地帯に住んでいたらしい。

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