闇塚日記〔3〕

闇塚 鍋太郎

Daily Records Part 3

双六渡世篇〔2017年の日記〕

第1記:元旦

 帰宅後、熱いシャワーを浴びた。浴びてから、体を拭き、清潔な衣類を身に着けた。それから、テーブルの上に酒と水と食品類を並べた。

 紅白歌合戦のテレビ放送を(ラジオで)聴きながら、ウイスキーの水割りを呑んだ。酒肴(さかな)は、近所のスーパーで買ってきた半額惣菜である。驚くほど不味いが、空腹なので、なんとか食べられる。

 今回の紅白には「ゴジラが来る」と聞いていたので、楽しみにしていたのだが、会場の演技と演出が、生煮えな感じで、イマイチ面白くなかった。

 いかに天下のNHKと云えど、この不景気な時代に、あれほどの大型番組を制作するのは至難だろう。愚者代表の俺でも、それぐらいのことはわかっている。わかってはいるが、そうではないものを、そうとは記せない。


 飲食後、洗面所に行き、歯を磨いた。磨いてから、戸締りを確かめた。確かめてから、布団の中に潜り込んだ。電灯を消し、半ばまどろみながら、紅白を聴いた。途中で寝てしまう可能性があるので、イヤホンを使用した。

 気がつくと「申年」が「酉年」に変わっていた。それが、俺の年越しであった。イヤホンを外し、ラジオの電源を切り、本格的に眠った。


 翌日(つまり、今日)の朝。俺は布団を出て、台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。沸かし立ての湯で「初コーヒー」を淹れた。チョコ味の蒸しパンを齧りながら、熱いやつを飲んだ。

 寝室兼居室に戻り、年賀メールの送信を始めた。このメールだけは、明日以降に送るわけにはゆかぬ。今日中に送るしかない。


 送信後、生乾きのジーンズを物干し台に干したり、部屋の掃除をしたりした。終わってから、台所に行き、2杯目を飲んだ。

 居室に戻り、愛機を起動させた。ぴよぶっくを呼び出して、ダサクの編集に没頭した。書き初めならぬ「打ち初め」である。26章「AGENT」の続きを打ち込んだ。元日に相応しい中身(ジゴク!)とは思えないが、打ち続ける内に夢中になってしまい、時間の感覚を失った。

 投稿後、2017年、最初の日記(つまり、これ)を打ち込んだ。今年がどのような年になるのか、何が起きるのか、俺などにわかるはずもない。これまでと同様、一日一日、刻んでゆくしかあるまい。〔1月1日〕


♞大晦日の夜は『紅白』を聴いていたらしい。同番組はラジオでも放送している。音声解説付きなので、大体の内容は把握できる。

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