第34話…召喚の儀
体が再構築されてゆく感じ…
気がつけばテニスコートくらいの広さの部屋。下には魔方陣を確認した。
本当だったのね…
周りには白いローブを着た男性が8人、中央の1人が神官長かな。着ている服が豪華だね…
片膝を着き頭を垂れ、神官長に向けて声を発する…
「女神ダミア様より命を受け、この国へ助勢する為、召還されましたシキと申します」
周りが一気にざわつき始める…
「魔王討伐への一助となれば幸いです…」
歓声に似た声が響き渡る…
「わたしは…うっ…ゴホッ…」
「申し訳ございません、召還の影響で…少し…」
その場で倒れた…
…ように見せかけた…
「誰か、急いで治療室へ!誰か、誰かいないのか」
「少し休めば回復すると思いますので、休めるところへお願いできますか…」
「わかったそのようにしよう…」
近くにいたメイドにお姫様だっこされてベッドへ運ばれた…
…この世界のメイドって力持ちなんだね…
水と軽食を頼み、情報収集した。いきなり王様との謁見という事態を避けるためだね…
全てはルビ先輩と再会するため、最善、最良を選択する。
ルビ先輩と会うと言う事に関しては、ハードルは低い。問題は、魔王だ。ルビ先輩が魔王と敵対するかどうかだね。
敵対しないのであれば問題なくて、すぐに再会しても大丈夫。敵対するのであれば、魔王を下す必要が出てくるね。その場合わたしの能力では太刀打ちできない。
魔王討伐という目的はドトロア公国と同じなので苦労はないかな。もう少し情報が欲しいな…
王様への謁見もつつがなく終了ですね。デニス王子が『使えねぇ』的な態度だったけど、特に問題無し。ま、本当に使えない加護なんだけどね…
魔法自体が使えない。対戦で使える物は吹っ飛ばし攻撃。それも4人吹っ飛ばしたら、魔力が空になるし、吹っ飛ばした所で大したダメージも与えらないね。風魔法は突風を巻き起こす事ができるけど、精々、砂埃で目つぶし程度にしかならない…
雷魔法は相手に触ることができればダメージを出すことができる。いわゆるスタンガンに近い。火魔法は発動までの時間がかかる上にクールタイムも長い。ただ、意識外からの攻撃なら避けられる事がないから、ダメージはそこそこかな。
ヤレヤレですね…
う~ん…この世界の予防注射、凶悪すぎる…
作用が強力だね。それともわたしが弱すぎるのだろうか?それ以前に予防注射があることも不思議なんだけど…
例えば、鳥のインフルエンザウィルスはA~H、人の場合A・B・Cの抗体は持っている、それ以外は新型になる。この世界でD以降のウィルスが主流なら、わたしは常に新型インフルエンザの脅威にさらされる事になる。
ましてやここは異世界だから、未知のウィルスはあって当然。SARS・MARSクラスの感染症に複数
死ぬために召還されたのかと思うほどだね…
対策はある。胸腺と脾臓の活性化。ヒールも使い方次第だね…
まさか、こんな事で1ヶ月も無駄に過ごすとは予想外だった…
だけど、急がば回れだ。常に最適解を選択する…
…
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