花言葉をテーマにした不穏で妖しい世界を描いた短編集

花言葉と言えば「愛情」を意味する「バラ」や「思いやり」を意味する「チューリップ」など様々なものがあり、贈り物にもあえて花言葉を意識して渡すこともあると思います。

しかしこの作品の中で紹介される花言葉は「疑惑」「復讐」など不穏なものから「永遠の愛」「優れた美人」など一見肯定的なものまで様々です。
そしてその数々の花言葉をテーマにした短編がつづられており、時に恐ろしく時に切ない物語を楽しむことができます。
ある物語は一見ごく平穏な日常が些細なきっかけで怨念ただよう恐ろしい展開を見せ、またある物語は不穏な雰囲気を感じさせる独白から背筋の凍る真相が最後に明らかになります。
そしてその物語全てが花言葉とそれを象徴する植物を軸に展開されており、かつ短編として綺麗にまとまっているので作者さんの発想力に驚かされます。

ホラーがお好きな方は是非ご一読を。

このレビューの作品

畏怖の花言葉

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