概要
藤の御曹司と加茂の娘が織り成す、王朝恋草子
「あなた、一体どこのだれなの?」「さあ、誰だろうな」
加茂の社の娘・沙良は、八つで奥宮殿にあがった。沙良の母は、娘を自分と同じお役女官にと考えているようだが、人見知りの沙良は御所になじめない。行き詰まっていた沙良の前に現れたのは、二つ年上の稚秋だった。
稚秋は不思議な少年だった。みずらを結わずに一つに括り、口調も荒っぽいのに、どこか憎めない。幼い沙良は彼との出逢いをきっかけに、女官職出仕(見習い)として勤めに励むようになる。
竹林で、学堂で、禁苑で。稚秋と遊ぶたび、沙良は彼に親しんでいく。けれど、年を一つ二つと重ねていけば、見える景色は変わっていく。稚秋は沙良を気にかけるくせ、自分の家のことだけは話そうとしないのだ。
出逢って二年が経つ頃、稚秋の出自が判明する。それがきっかけで、二人がただの
加茂の社の娘・沙良は、八つで奥宮殿にあがった。沙良の母は、娘を自分と同じお役女官にと考えているようだが、人見知りの沙良は御所になじめない。行き詰まっていた沙良の前に現れたのは、二つ年上の稚秋だった。
稚秋は不思議な少年だった。みずらを結わずに一つに括り、口調も荒っぽいのに、どこか憎めない。幼い沙良は彼との出逢いをきっかけに、女官職出仕(見習い)として勤めに励むようになる。
竹林で、学堂で、禁苑で。稚秋と遊ぶたび、沙良は彼に親しんでいく。けれど、年を一つ二つと重ねていけば、見える景色は変わっていく。稚秋は沙良を気にかけるくせ、自分の家のことだけは話そうとしないのだ。
出逢って二年が経つ頃、稚秋の出自が判明する。それがきっかけで、二人がただの
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