ご愛読ありがとうございました! ここまで読んでくれてありがとうな!(主人公より) またどこかでね!(ヒロインより)


そして、物語は最後のオチへと向けて堕ちていく。悲しみが渦巻き、苦痛は飛沫を上げてのたうち回る。声にならない悲鳴が世界を揺るがせた。


突然の意味不明な言動に、光は何も答えない。きっと頭がついてこれていないのだろう。俺はそんな彼女にさらに質問を加えた。

「俺はずっと疑問に思っていた。この本編が終わった後からお前はいた、俺のすぐ横に。だけど俺はお前が誰だか知らないんだ。教えてくれ。お前は一体誰だ?」

俺は矢継ぎ早に鋭い質問をぶつける。

「え? 何を言っているの? 私はこの小説のヒロインの光よ?」

信じられないとばかりに、目を見開くヒロイン。顔に不安を貼り付けている。

「いや違う。本物のヒロインは本編の最後で死んだんだ。俺はヒロインを助けられなかったんだ。俺たち登場人物の前に『ご愛読ありがとうございました』という単語が浮かんでヒロインが死ぬバッドエンドで終わった。その直後にお前はどこからともなく現れたんだ。最初は本編で俺と会話したことのないキャラクターだと思っていた。俺は主人公だから、お前が俺のことを一方的に知っていても不自然じゃない」

「え? それじゃあ最初のシーンで私のことが誰だか知らなかったの?」

彼女の顔が不安で汚れる。

「ああ。一番最初のシーン。あの時、俺とお前は初対面だった。にも関わらずお前はなぜか俺と一緒に旅をした記憶があった」

「何でそのことをすぐに私に聞かないのよっ?」

ヒロインが怒号を飛ばす。戸惑いと悲しみが入り混じる悲しい声だ。

「聞けなかったんだ! 聞こうとすると必ず邪魔が入ったんだ! 都合よく誰かが話しかけてきたり雷が落ちたり。明らかに作為的に聞かれないようにしている」

「どうして?」

「これが小説の中の物語だからだ。ここで俺がそれを知ってしまうと最後のオチにつながらない。小説の都合で御都合主義が起きていたんだよ。作者が小説のオチのインパクトを強めるために、わざと雷を落としたりしていたんだ。作者が無理やり矛盾をなくしたんだ。そして今、物語は最終局面に入った。だからもうお前に真実を告げることができるようになったんだ。俺たちは作者の掌の上だ」

「なら私は一体誰なのよ?」

ヒロインはもう泣きそうだ。胸の中を真っ黒い感情が濡らしているのだろう。

「俺の弟と同じだ。お前はこの小説の後付けキャラクターだ」

感情のこもらない俺の台詞は、空の彼方に消えていった。

「何で私に、あんたと一緒に旅をした記憶があるのよ?」

「物語が矛盾しないようにするために作者に記憶改竄させられていたんだ。弟もそう言ってただろ。後付けキャラクターに本編の記憶なんてない。だから作者によって捏造された記憶だ。それがこの小説のオチなんだよ。お前は本編の記憶を植え付けられた新キャラクターだ。違和感なくこの物語に溶け込めるように記憶を調整されたんだ。そして、お前は植え付けられた記憶のせいで勘違いした」

「それじゃあ私は、自分のことをずっとヒロインだと思い込んでいただけなの?」

「いや、お前はこの小説のヒロインだ。それは間違いない。だが本編で死んだ旧ヒロインとそっくりの新ヒロインだ」

「なんで死んだヒロインとそっくりなの?」

「死んだヒロインが復活したという設定だからだ。今は何年だ?」

「何よ急に?」

「いいから答えてくれ。この小説が発行されたのは何年だ?」

「二千十九年だけど」

俺は生唾を喉の奥に押し込んだ。

「やっぱりな」

「どういうこと? なんでそんなことを聞いたの?」

「今は二千十九年で間違いないはずだ。だけどそれを知っているのはこの小説で後付けキャラクターたちだけだ。なぜなら後付けキャラクター以外の登場人物は今が千九百三十年代前半だと思っている。わかるか? 小説の本編は今から八十年以上前に執筆されていたんだ」

だから俺はコンビニやエレベーターや遊園地がなんなのか知らなかった。その時代にそんなものはなかった。

「なんでそんなに時間がずれているの?」

「本編が完結してからずっと時が止まっていたんだよ。小説が完結した後に登場人物たちに待っているのは、平和な世界じゃない。ただの虚無だ。俺たちの時は八十年以上止まっていたんだ」

「ならなんで時が動き出したの?」

「八十年以上経ってからリメイクされたんだ。お前の姿はリメイク前のヒロイン、光ちゃんにそっくりだ。だけど細部が微妙に違う。目が大きくなって、まつ毛が濃くなっている。さらに、胸も大きくなり、肌の露出が増えている。俺の知っている光ちゃんはそんな格好じゃなかった」

「なんで私だけ姿が違うの?」

「それが二千十九年の流行りなんだろ。大きくて可愛らしい瞳に。抜群のスタイル。露出度の高いセクシーな服。それがヒロインの流行なんだと思う」

「ヒロインは死んだんでしょう? なんで私を生み出したの?」

「そうしないと小説が売れないんだろ。よくある話だ。リメイクするにあたって脚本が捻じ曲げられたんだ。もっと売れるようにするために、死んだキャラクターを蘇生させた。新しい作者は原作を無視して読者に媚びたんだ」

「いや、もう聞きたくない。やめて!」

「自分のことを本編でヒロインだったと思い込んでいる女の子と旅をする。そして最後にその子が正式にヒロインになる。そう言う脚本なんだよ。お前は本編で死んだヒロインの穴を埋めるためだけに生み出されたんだ。だから何度も何度も自分がヒロインだと繰り返し言っていたんだ。まるで自己紹介をするみたいにな」

新ヒロインは耳を押さえてうずくまっている。

「だから序盤でスピンオフのような展開があったんだ。あれはスピンオフじゃなかったんだ。新キャラクターを読者に浸透させるための脚本だ」

「水の都で俺ではなく、お前のサインをねだりに来た人がいただろ? あれはお前というキャラクターが人気者であると読者に印象付けるためのものだったんだ」

「私たち登場人物は作者の道具なの?」

か細い声は、俺の胸を締め付ける。

「そうだ。俺たちは作者の描きたい物語のために動かされる駒だ。俺たちの運命は最初から決められているんだ」

「そんなの嫌。あんまりよ」

とうとう新ヒロインは泣き崩れてしまった。嗚咽が耳を撫でる。悲しいすすり泣きが空気を震わせる。


俺は誰も写っていない暗い空の方を向いた。空には何も写っていない。まるで空っぽになったこの小説それ自体を暗示しているようだ。

「なぜこんなことをしたっ? これがあんたの、作者のしたかったことなのか? 無理矢理物語を広げて、俺たち登場人物をさらに苦しめる。こんなことをしてまで小説の売り上げを伸ばしたいのか?」

俺は、作者に向かって喋りかけた。俺の叫び声が透明な空気を揺らす。だけど、登場人物の声が作者に届くはずなんてない。俺の精一杯の抵抗は綺麗な空に吸い込まれて溶けた。

「俺たち登場人物の気持ちも考えてくれ! たまには俺たちの意見も汲んでくれ」

俺の声が虚しく響く。透明な空を灰色で彩る。俺の叫び声は、切ないワンシーンを読者の頭の中に描いた。

「俺たちはどんな時も必死で、与えられた役割をこなす。やりたくない役を演じて、思ってもない台詞を言って、小説を作る」

響く声は、空に向かって落ちていく。空気を震わせて、鳴いている。

「小説は、作者一人で作っているものじゃないんだ」

俺のつぶやきは、虚しく反響して返ってきた。作者からの返事なんて当然ない。沈黙だけが辺りを賑わす。俺は作者に唾を吐くのを諦めた。もうどうしようもない。終わったことだ。俺は新ヒロインの光に声をかけた。

「光。悲しいのはわかるけど、この物語は完結したんだ。平和になったこの世界でのんびり暮らそう。もうお前の大嫌いな悪役はこの物語にはどこにもいない。もう俺たちの戦いは全て終わったんだ」

そして、俺が振り返る前に、最後のフラグは音を立ててへし折れた。平和になったはずのこの世界で、悪のいないはずのこの世界で、俺は背後から新たなる悪役に串刺しにされた。


悲鳴とともに咄嗟に体に痛みが走る。何が起きたんだ? 視線を下ろすと、俺の胸から刃物が飛び出ている。背中側から刺されて剣が俺の胴体を貫通しているのだ。飛び出た刃物は、俺の血で濡れている。剣先がニヤリと笑ったような気がした。刃物が勢いよく引き抜かれる。血が床を湿らせた。俺はゆっくりと後ろを振り返った。あたりがスローになる。静かな世界に、俺の荒い鼓動だけが音を生み出す。

そこには、新ヒロインがいた。手から伸びる剣は、真っ赤に染まっている。血で縁取られた金属はその美しさをより一層引き立たせている。

「光? どういうつもりだ?」

か細い声が彼女に届く。

「私はもうヒロインをやめることにする。私は、あんたを殺してこの物語を終わらせる! 主人公はここで新たなる悪役に、この私に敗れるのよ!」

この小説のヒロインは自身の誕生の秘密を知った。そして、自分が大嫌いな悪役にその身を窶した。悪役はずっとそばに居たんだ。俺はそれに気づかなかった。目を背けていたんだ。彼女は何度も悪が大嫌いだと言っていた。それはただの前振りだったのだ。彼女の名前もそうだ。闇から最も遠い単語である光。それは、彼女が闇に堕ちることを読者に気づかせないための名前だ。彼女の名前は、彼女の心の中に眠っていた闇をひときわ美しく際立たせた。

世界を黒い雲が覆っていく。衝撃的な展開と共に、小説の最後の幕が開く。真っ白な紙のページの上で、最後の戦いが始まった。


辺りが急に暗くなる。夜の闇が小説の世界を覆って隠す。まるで読者からこの先の展開を隠そうとしているようだ。

「よせ! こんなことはやめてくれ!」

光は剣を構えて突っ込んできた。剣からは悪意が陽炎のように揺らめき、立ち上る。黒い斬撃は、左右から二発ずつ俺を襲う。黒の攻撃は、衝撃波のようなものを伴いながら激しく光る。空中には、闇で描かれた剣の軌跡が、模様を描く。まるで、この物語の行き着く先がバッドエンドであることを暗示しているようだ。

「お前が今更何をしても、事実は変わらない! お前はこの小説の新ヒロインなんだ!」

俺は勇者の剣で悪役の剣を往なし続ける。だが、攻撃する意欲のない俺の剣は、攻撃を防ぎきれない。俺の体に生々しい傷が刻み込まれた。傷口は闇の炎に浸される。黒い炎は彼女の悪意。傷口から毒のように入り込み、俺の体を容赦なく蝕む。苦痛が俺の体の中を進んでいく。

「あなたに何がわかるっ! 主人公は絶対に死なない! 主人公補正がある! いつだって死ぬのはヒロインなのよ! 私は生まれた時から主人公のおまけ! あなたを引き立たせるために作られるの。あなたに私の気持ちはわからない!」

光は、悪魔の力を身に宿す。俺から距離を取り、空に浮遊し始めた。徐々に地上から遠ざかる。一体何をするつもりだ?

「そんなことはない! ヒロインだって必要な存在だ!」

俺は剣を構えたまま、少し後ずさる。

光は、空に手を挙げる。手のひらをかざし、ありったけの悪意を空に打ち上げた。空を黒いカーテンが覆う。小説の白いページを黒く塗り潰そうとしているようだ。

光の手から広がる闇の力は、小説全体を黒く染め上げていく。そして、黒い闇は怨念を身ごもる。

「あなたはいいわね。正義感と勇気を作者から与えられる。迷いなく小説を進んでいける。小説の中で一番重要な存在」

そして、空に掲げた右手を、闇の衣ごと俺めがけて叩きつけた。小説の中から、現実の本を引き裂くほどの衝撃がこの世界を揺るがした。ページが音を立てて破れる。背表紙がちぎれて、紙の束がばらける。あたりに散乱した白いページの文字は、もう読めなくなってしまった。


めちゃくちゃになった小説の中に俺とヒロインだけがいる。真っ白い何もない世界の中に佇んでいる。俺は右手に持っている勇者の剣がへし折られていることに気づいた。俺の心とともに折れてしまったようだ。ヒロインは諦めた俺の方に近寄ってきた。そして、俺はヒロインに串刺しにされて死んだ。俺は一切の抵抗を見せなかった。もうどうでもよくなった。


この小説は、その登場人物によって内側から破壊された。


主人公である俺の役目は、もう果たせない。もう主人公ではない。


俺は諦めることにした。もうどうしようもない。


俺はあてもなく、虚無の空間を泳いだ。ただただ流れに身を任せて漂い続ける。それしか俺にはできない。俺は今までの全てのページを思い返した。そのどこにも光がない。光はいなかった。この小説の新ヒロインは小説から姿を消した。たまにはいいだろ? 小説の登場人物がボイコットをしても。


もうページを読み進めるのをやめてくれ。もうこの先には何もない。もう苦しみたくないんだ。


もうページを読み返すのもやめてくれ。もう戦いを思い出したくないんだ。


なぜまだこの小説を読み進める? 君がいくらこの先を読み進めても本当にもう何もないんだ。都合よく誰かが助けたりしてくれない。絶対にもう無理だ。もうこの小説は終わったんだ。今度もバッドエンドで終わりだ。俺の頑張りなんて何の役にも立たないんだ。俺は自分が小説の主人公であることを忘れて、今度こそ本当に諦めた。

そして、諦めた俺に都合よく救いの手が差し伸べられた。


暗い世界に光が差し込んだ。誰かが俺の手を握っている。懐かしい。暖かい。愛情が溢れて、暗く濁った俺の心を浄化する。でも誰だ? この小説に登場した人物で、まだ俺を助けてくれる人なんていたか? もう全ての登場人物が役目を終えたはずだ。一体誰だ?

俺は恐る恐る、閉じた目を開いた。もうずっと目を瞑ってしまいたかった。暗闇だけを瞼の裏に描いていたかった。だけど、彼女はそれを許さなかった。目の前に現れた女性に声をかける。

「君が何でここにいる? 死んだはずだ」

俺は、死んだはずの旧ヒロインである光ちゃんに声をかけた。この小説に登場した新ヒロインの光とは別人だ。読者のみんなにはこの人が誰だかわからないだろう。この子がどんなヒロインだったか、どんな人間だったか、どんな風に俺を助けてくれたかは、俺だけの秘密だ。

「小説が原型を留められないくらい壊されたからあなたに会えたの」

「生きていたのか?」

俺のわずかに心に残っていた希望が口から出る。

「いいえ。私はもう死んだわ。あなたは私のことを助けることができなかった。よく覚えているでしょ? それは変えることのできない事実よ」

心のどこかで、彼女に生きていて欲しかった。崖から落ちた人物が何事もなかったかのように生き返る。それは読者にとってどんな印象を与えるだろうか? きっとみんなは納得しないだろう。崖から落ちたのに助かるわけなんてないんだ。だけど俺にとってはそんなことどうだっていい。彼女にどんな形であれ生きていて欲しかった。彼女が何事もなかったかのように生き返ったらどれほど幸せなのだろうか。

「光ちゃん。俺は君がいないと生きていけない。君がいないと頑張れない」

「いいえ。あなたはまだ戦える。読者はまだあなたのことを見ている。ここからまだあなたが諦めないことを期待しているの」

「読者がまだ小説を読んでいることを知っていて出てきたのか? 死んだ旧ヒロインが、前振りもなしに登場したら読者が混乱する」

「ええ。そうね。でも今は読者のことは忘れて。あなたが主人公であることも忘れていいの」

「忘れられるわけがないだろ! 俺は主人公なんだ。どれだけ苦しくても小説をハッピーエンドに向かわせなければならない。わかるか? バッドエンドなんて読者は見たくないんだよ! 読者の住んでいる現実世界ではどれほど頑張ってもその頑張りは報われない。苦痛と悪意しかない。だからみんなフィクションの世界に逃げ込むんだろ!」

気づいたら、俺が読者に対して思っていた言葉が口から出ていた。言うまい言うまいと思っていた本音が小説に文字となって浮かび上がる。

「俺が現実世界の読者を助けることはできない。俺たちの姿を見て、読者が何かを頑張ってくれるといいな。そう思って頑張っていた。だけど読者はフィクションの世界に逃げ込むばかりで何もしてくれない。小説の登場人物に自分を重ね合わせるばかりで、現実では何もしない。小説の主人公やヒロインに自己投影させて達成感と充実感を得る。小説が終わるとまた耐え続けるだけの日々に戻るんだ。辛い現実を忘れるために俺たちの姿を見るんだ。楽しいからじゃない。現実から逃げるために小説を読むんだ」

俺は、言ってはいけないことを言った。弱音を吐いて、ここまで読んでくれた読者を批判した。

「こんな小説を読み続けてもお前の現実は変わらないんだよ!」

続けて俺は読者に向かって怒号を飛ばした。俺の口から出た不愉快な台詞は読者を傷つける。

旧ヒロインの光ちゃんがそっと俺のことを抱きしめる。彼女は何も言わない。ただそっと俺のことを優しく包んでくれる。

「俺はそんなことをして欲しくて頑張っているわけじゃないのに」

溢れた本音は、すすり泣きとともに読者に届いた。

「私たちの頑張りなんて伝わらない。小説の主人公だから頑張っているんじゃない。エンターテイメント性も前振りも伏線も読者を納得させるような展開も必要ない! 今だけは読者のことは忘れてあなたのために戦って! 後付け設定とご都合主義でいいわ。主人公が弱音を吐いてもいい。読者に主人公だと認めてもらえなくてもいい!」

彼女の言葉は絶望で蝕まれた俺の黒い魂にもう一度光を燈らせた。

「あなたはいつだって私の中で主人公なの! 私は知っている、あなたは絶対に諦めない! さあ、行って!」

突然登場した旧ヒロインの台詞は前振りも伏線も何もない。もちろん読者にこのことは響かない。彼女の言葉は、唯一この俺だけに響いた。今からは、俺は読者のためは戦わない。


俺は目を開いた。そこには俺の体に剣を突き立てる新ヒロインの光がいる。剣によって傷つけられた俺の分身、蜃気楼が消える。もちろんさっき蜃気楼なんて使っていなかった。後付け設定の御都合主義を使って、さっき蜃気楼を発動していたことにしたんだ。納得いかないって? ああ。そうだろうな。

ああ。そうそう、これから出てくる光は新ヒロインの方の光だ。旧ヒロインの光ちゃんじゃない。わかりにくいって? だろうな。だけど、今からはもう読者に気を使った展開はない。それでも読みたかったら読み進めてくれ。

俺は、読者の不満の声を無視して光に声をかけた。

「今この小説を誰かが読んでくれているかは関係ない! 俺が俺のために戦う! もう読者に媚びたりなんかしない! 俺のためにこの小説をハッピーエンドに変えてみせる! 後付け設定と御都合主義を使ってでも、もうヒロインは死なせない!」

「蜃気楼を使っていたのね? でもいつの間に?」

光は俺の方を向くと、再度剣を構える。

俺は折れたはずの勇者の剣を何事もなかったかのように修理した。もちろん勇者の剣に修復機能なんてない。たった今、俺が後付け設定として能力を追加したのだ。

俺は彼女に向かって、強力な炎の斬撃を飛ばす。これももちろん今俺が考えたわざだ! 伏線もクソもない。

俺の放った剛爆炎は大空を全て覆う巨大な天蓋になった。濃厚な炎が空気を焼き包む。高温に晒された空気が音を立てて破断する。焼け付くような炎は牙をむいて光を襲う。彼女は俺の炎に同じような攻撃をぶつけて相殺する。その瞬間、赤と赤が混じり合い最高密度の濃縮された火炎が生まれる。小説の世界が赤一色に包まれる。

「あなたこんな技が使えたの?」

光は俺に不思議そうな顔を向けた。

「いや、たった今使えるようになったんだ。俺は今から小説を作るときのありとあらゆるタブーを犯す! 伏線なしで能力を使い、前振りなしで話を進める。パワーバランスの壊れた能力を連発する。読者の納得なんて関係ない。俺はこの小説を壊してでも、お前を助けるのを諦めない!」


俺は剣に祈りを込めた。聖なる影が惑星の表面を舐めるように滑っていく。そして、空気中と地面と海の上に、思いつく限りの花を咲かせた。千色以上の様々な具現化した美は光の消えた世界に色を与えた。透明な花瓶に、色とりどりの花を一本ずつ活けていく。絶望の匂いがひしめいていた地平線に爽やかな香りが飛び散った。金木犀と鈴蘭の花が、空気の香りを甘く味付ける。新しい香りが、心を洗う。

俺は、すべての花に意識を集中した。頭の中に自分が勝つイメージを浮かべる。イメージは具体性を持ち俺に自信を与える。俺は、惑星中の花びらを空に浮かばせた。それらすべてを完全にコントロールする。赤、青、黄、橙、白、黒、桃、この小説に存在する全ての色をここで表現できる。大空を覆い尽くす花弁が黒い空に千本桜を作り出す。

「なにこの技? 見たことがない」

俺は色彩の礫を、光にぶつける。華やかな匂いと色が優しく攻撃対象を包み込む。

そして、一閃の輝きとともに、光の放った電撃が花を焼き尽くした。地獄から呼び寄せられた黒い雷流は空、海、地上を一瞬で駆け巡る。俺は、光の攻撃を難なく後付け電気無効能力で完封した。


続いて、雷の隙間から光が剣で攻撃を狙う。背後から狙いを済まされた一撃必殺の急所狙いの攻撃は、俺の予知能力で完全に躱された。

俺の頭の中に、映像が流れる。光の次の攻撃が手に取るようにわかる。脳裏に流れる刹那の未来は、俺に進むべき方向を示した。仄暗い海の中に光る灯台のような微かな光が俺には見えた。

光の攻撃が、右後方から迫り来る。俺は、ノールックで左に少しだけ避けて躱す。続いて光は一文字に俺を切りつける。俺は、背後を向いたまま、かがんで躱す。さらに光は攻撃を放つ。剣から冷気を氷の塊にして俺に投げつける。俺は死角からの攻撃を、少しだけ体をひねって素通りする。

「なぜ攻撃が当たらないの?」

後ろを向いたままなので戸惑いを浮かべた彼女の顔は、想像で補った。

「予知能力だ。お前の動きは全て把握できる」

俺は振り返り、剣で振り向きざまに峰打ち攻撃を仕掛ける。誰もいない空間に剣を振ると、そこに隠れていた光に剣がぶつかった。光は蜃気楼で位置をごまかしていたのだ。

続いて、俺は明後日の方向に剣を放り投げた。すると、たまたま光がその方向に移動して剣が命中する。光の体に軽い打ち身が浮かび上がる。

「こんな技はこの小説に出ていないわ。チート能力のオンパレードで読者が納得すると思うの?」

光は苦い顔をする。俺は剣を念動力で手元に手繰り寄せる。

「しないだろうな。今の俺は読者のために戦っているわけじゃない。作者の金儲けためでもない。自分のためにお前を止める!」

俺は、この小説の全てのページを頭に描きなおした。俺は頭の中に描かれた小説のページをめくる。そして、序盤を読み返す。俺は序盤に出てきた猿を、光のサインをねだったあのキャラクターを、小説のセオリーを無視して生き返らせた。崖から落ちた登場人物が何事もなかったように生き返る展開と同じだ。読者はこの展開に納得なんてできっこない。

空中に骨格だけが浮かび上がり、次にその骨を肉と血が覆っていく。赤い肉が白い骨を包んでやがて猿の形を生み出した。

「ここは? どうして主人公様とヒロイン様が戦っているの?」

猿は、なにが起きたかわかっていない。自分が生き返ったこともわかっていないのだろう。

俺は、この小説の中盤を読み返す。俺は殺した銀鏡のワニを一匹残らず復活させた。ワニの鱗は前見たときと同じように鏡のように輝いている。ワニの鱗は、暗く鈍く沈んだ世界にわずかに残った残光を反射している。ワニたちは顔を見合わせる。互いに互いの鱗に光を反射し合っている。まるでこの世界に最後に残った希望の光を増幅させようとしているみたいだ。

俺は続いて、この小説の終盤を読み返す。俺は、自分の弟をこの場所にテレポートさせた。傷も全快させる。

「どこだ、ここは? おい! どういうことだ?」

弟は戸惑いを辺りに振りまく。

俺は、この物語に登場した登場人物を今ここに集めた。都合よく全員生き返らせて、都合よく全員が俺に協力する。

「俺に協力しろ! 光を止める! 俺たちは絶対に諦めない」

俺の、小説の主人公の声に、もう迷いなどなかった。


俺は、右手を軽く振った。その瞬間、俺の仲間たちの力は、パワーバランスが壊れるほど強化された。体力、筋力、俊敏性、聴力、視力、全ての能力が千倍以上に跳ね上がる。

ワニからは銀色の翼が生える。絶対にあり得ない位置から、ワニに不釣り合いな二枚の翼が掲げられる。物理法則を完全に無視している。

猿には、元から生えている二本の腕とは別に、もう二本腕がはえる。骨格や体型を無視してあり得ない構造がまかり通る。まるで子供の空想をそのまま現実にしているようだ。

弟には、勇者の剣のレプリカが与えられた。黒く輝く聖剣は本物と完全に同等の力を有する。鈍く輝くその剣は、俺の勇気を複製したみたいだった。


光は周囲を見渡し、警戒を怠らない。

「小説をバカにしているの? こんなめちゃくちゃにしてまで私を助けたいの?」

「ああ、さっさと諦めて俺に助けられろ!」

「あなたこそ諦めなさい! 私が主人公のオマケじゃないことを証明してやるっ!」

光は悪意を体に滾らせる。目に見えるほどの彼女の殺意が、大気を震わせる。そして、彼女は俺の使う予定だった能力を発動させた。


彼女の体を巨大な鎧が包んでいく。全身に黒い棘が衣を与える。悪意と後悔とが混ざり合い彼女の殺意を増幅させる。光の体は巨大な悪魔の姿を形取る。小説に出てくる全てのネガティブな感情を一つに凝縮させたみたいだ。彼女の悪意は巨大で重たいものだった。まるで目の前に超重力の惑星が誕生したように感じた。

「これは、俺の能力だ」

俺は予知能力で、並行世界の中を探った。この能力は俺が、作者に従っていて闇に堕ちていた場合に使っていた能力だ。この能力で俺は悪の力を世界に振りまき、惑星を焼き尽くした。間違いない、光は、俺が悪に堕ちていた時のルートを辿っているのだ。

「ワニたちは周囲から取り囲み動きを牽制しろ!」

ワニたちは、素早く光の周りを取り囲む。

「猿は光を背後から攻撃しろ!」

猿は憧れのヒロインの背後に回り込んだ。

「お前は俺と組んで、正面から攻撃する」

俺は、後付け設定の弟に声をかけた。弟は俺の方を見て力強く頷く。

そして、小説の全ての力を合わせて、脚本を力ずくで無理矢理書き換えた。まるで俺がこの小説の作者に成り代わったようだ。


一斉にキャラクターが光を襲う。力の奔流は周囲から彼女のことを飲み込む。俺は弱点探知能力で彼女の弱点を見抜いた。ワニが彼女の巨大な体に噛みつき、動きを止める。背後から猿が腕で彼女を羽交い締めにする。俺と弟は正面から連携攻撃を重ねる。光は必死の抵抗を見せるが俺たちは怯まない。諦めない。

そして、数の暴力は突破口を小説に開けた。俺は彼女の胸の中心にある胸郭に手を突き刺した。黒鉄の鎧の間に赤熱する部分がある。心臓のように脈打つ胸の中心から何かを引きずり出した。マグマを地面にこぼしながら光の本体が悪魔の鎧から飛び出る。溢れた溶岩は、冷えて固まり、地面に複雑な模様を描いた。

光は俺の手を振り解くと、俺から少し距離をとった。そして、光は目の前にフードの少年を召喚した。本編では俺が脚本を変えたせいでこいつの正体がわからなかった。フードの少年は光に声をかける。

「力が欲しいか?」

「ええ。力を頂戴!」

「もう一度聞こう。力が欲しいか?」

「ええ。力が欲しい!」

そして、フードの少年は、青竜伝説の巫女は光に青竜の力を与えた。光の体はいつかの俺のような青竜になった。空を切り取ったような青い鱗が輝く。彼女を世界の中心にして力の暴風が竜巻のようになる。周囲を切り裂く奔流は渦を巻き巨大な螺旋を生み出した。おそらく俺が使う予定だった最強の技だ。俺は指パッチン一つでその技をかき消した。

光は人間の姿に戻った。そして怯むことなく、体の中心から世界に闇の因子を飛ばした。真っ黒い放射能は惑星ごと全てを蝕んだ。黒色の力の激流はブラックホールの特異点(中心)のようだ。俺たちは光の闇の攻撃で弾き飛ばされる。

「もう諦めなさい」

光の口から出たのは、俺が最も嫌いな台詞。悪役が主人公に諦めを求める台詞だ。何度もこの台詞を吐くやつに苦しめられた。痛めつけられて、苦しめられて、叩きのめされた。だけど俺が諦めることはない。だが、どうする?

後付け設定と御都合主義の連発は通じない。光はこの小説の理の外にいる存在だ。こうなったらもっと都合のいい展開をぶつける! 読者のことは無視する。俺は手を前にかざした。

「今から俺が使う技は、君の知らない技だ。君はこの小説に出てくる全ての俺の技を見ている。だけどこの技だけは躱せないはずだ!」

「何をするつもりっ?」

俺の右手からは、小説の中から読者の目を眩ませるほどの光が発せられた。白い輝きは、小説の最初のページから最後のページまでを全て覆い尽くした。

新ヒロインの光は思わず目を瞑る。唯一見せた大きな隙を俺は逃さない。俺は一瞬で彼女との距離を詰める。もうこの距離なら攻撃が届く位置まで来た。そして、俺は彼女の小さな体をそっと抱きしめた。彼女の柔らかな温もりが優しく伝わる。

「君は俺のことを助けてくれた」

「それも後付け設定? 今更何をしても私の気持ちは変わらないわ」

「俺は主人公という重圧にずっと潰されていたんだ。もうだめだったんだ。俺はバッドエンドを変えることができなかった。どれだけ頑張っても旧ヒロインはもう生き返らない。俺はかつて一度諦めたんだ。今度こそヒロインは俺が救う。俺が今から最後の伏線を回収する。よく聞いてくれ」

そして、俺はこの小説に残された最後の伏線を回収することにした。読者に見られたくない主人公の弱い部分だ。本当は隠し通すつもりだったけど、ヒロインを助けることを今度こそ諦めないことにした。

「最後の伏線? 私が後付け設定だったことが最後の伏線じゃないの?」

「いや違う。もう一つだけあるんだ、読者に隠そうと思っていた伏線が」

そして、俺は全てを彼女に打ち明けることにした。

「この物語の冒頭で、俺がしようとしていたことを君に邪魔された。あれがこの小説に残された最後の伏線だ。『ご愛読ありがとうございました』の文字が空に浮かんで小説は一度完結を迎えた。その時、俺はやることがあったんだ」

それはさな小さな、伏線と呼べるのかわからないくらい小さな台詞。なぜならこの伏線は俺が誤って言ってしまったものなのだ。言わないでおこうと思っていたが、知らない女性にいきなり手を引かれて困惑していたのだ。俺は冒頭で口にした台詞をもう一度思い出す。頭の中に冒頭の台詞が浮かび上がる。読者とともにその台詞をもう一度読んだ。


「なあ。ちょっと待てよ! 俺にはやることがあるんだけど!」

俺の制止も振り払いヒロインは急いで近くの村に走って行った。俺はされるがままに手を引かれた。


「確かに冒頭であなたは何かをしようとしていたわ」

小説の中の世界が震え始める。明朝体の黒い文字が音を立てて崩れる。小説は文字だけで描かれた空想の中の世界。温度のない文字と文字が、読者の頭の中に色と音を与える。その世界が、最後の輝きを見せようとしている。世界は静寂に包まれた。全ての音が消えて無くなる。全ての色が消えてモノクロになる。そして、俺の台詞だけが小説の中に浮かび上がる。


「俺はあの時自殺しようとしていたんだ」


俺の本音が文字となって小説に描かれた。

「え?」

光は驚きと戸惑いを混ぜたような表情を見せた。

「旧ヒロインを救うことができなくて、悔いていた。主人公をやめようと思っていた。諦めたんだよ。だけど俺は主人公。物語が完結するまで死ぬことは許されなかった」

主人公に逃げるという選択肢などない。作者によって無理矢理にでも戦わされる。

「ちょっと待って! ならあなた、あの時しようとしていたのって自殺だったの?」

彼女の感嘆の声が読者の頭の中に響く。

「そこに君が現れた。君が俺の手を無理やり引っ張っていった。君は知らず知らずのうちに俺の命を救っていたんだ。今度は俺が無理やりにでも止める! 今のこの小説のヒロインは君だ」

光は、この小説のヒロインは、俺の手を振りほどいて距離を取る。

「私は主人公ではないからあなたの苦悩はわからないわ。でもヒロインでもないの。私はただの後付けキャラクター。死んだはずのヒロインを原作を無視して生き返らせた!」

彼女は右手の剣に全ての黒を収束させる。漆黒の爆風が彼女の剣に向かって吸い込まれる。文字となって浮かび上がる殺意が読者の網膜に映る。彼女の最後の攻撃の描写は、網膜から読者の脳へと電気信号となって駆け巡る。読者の頭の中に、この小説の中の全ての描写よりも黒い悲しい風景が浮かび上がる。一人の少女が悲しみと苦しみを抱えている姿だ。彼女は読者の頭の中で剣を構える。

「そうだ。だけど君が必要なんだ。小説の主人公はヒロインがいないと戦えないんだ」

俺も同様に最後の攻撃を構える。右手に持つ勇者の剣に全ての光と勇気を込める。さっき使った光の目を眩ませた攻撃は、旧ヒロインの能力だ。彼女は旧ヒロインの記憶だけが抜けている、だからあの攻撃だけは防げなかったんだ。俺は頭の中に旧ヒロインの姿を思い描く。守れなかった小さな命。俺の手の中で砕けて溶けてしまった。俺は見ているだけだった。後悔だけが脳の中を汚す。死んでしまいたいくらい辛かった。もう終わりだった。どん底だった。絶望しかなかった。だからこそ、今度こそ、目の前の彼女を救い出す。

「俺は絶対に諦めない」

俺の最後の言葉は読者の脳内で火花を弾いた。

読者のみんな、最後にもう一度だけ力を貸してくれ。俺の姿を思い描いてくれ、主人公がヒロインを救っているかっこいい姿を!

俺はこの小説の全てのページの全ての文字を勇者の剣に込めた。剣は輝きを始める。目も眩むほどの光は稲妻よりも明るい。網膜を焼き切るほどの光量が小説の世界を照らす。

そして、主人公とヒロインの最後の攻撃は同時にぶつかり合い、溶け合った。小説の中の全てのエリアが破壊された。全ての海水が蒸発した。そして、全ての闇は光に飲み込まれて消えた。

俺はようやく平穏が訪れた世界で、ヒロインの元に歩み寄った。澄みきった虚空が天井に青いカーテンを生み出す。爽やかな風が頬をきる。暖かい陽の光が真っ白になったこの世界を統べる。今の俺にとっては、この光景がたまらなく心地よかった。

俺は俯くヒロインに優しく言った。

「帰ろう」

新ヒロインの光は黙って頷いた。



そして、二度目の完結の後の戦いは終わった。そこでの戦いは読者に見せられるようなものではなかった。小説の登場人物たちが本音と本音をぶつけ合う小説の外の出来事。俺たちの苦悩と苦痛は、読者に伝わっただろうか。俺に知る由もない。この小説はひとまずはここで終わりだ。本当に終わりだ。今度こそ終わりだ。

「ちょっと待って! 私にも読者と話させて!」

元気を取り戻した光が俺のナレーションを遮った。せっかく綺麗にまとめようとしていたのに。

「おい! 邪魔するなよ!」

「いいから!」

光は俺のナレーションを無視して読者に一方的に話しかけた。

「読者のみんな! ここまで読んでくれてありがとう。私たちは小説の登場人物だから本から飛び出てあなたに会うことはできない。私には現実の世界のことがよくわからないけど、きっと苦しいことがたくさん起こるはず。私はあなたのことを慰めてあげたり、力になってあげることはできないわ。でも、辛くなったり、もう頑張りたくなくなったらまたいつでもこの世界に戻ってきてね。小説が完結したら私たちの時は止まってしまう。だけど誰かが読んでくれる限り、また誰かの頭の中で生きることができる。だから私たちはそれまで待っているわ。ここでこの物語は本当に今度こそ終わりよ」

光は俺の手を取ると、読者の目を見た。読者もそれに応えるように、読者の方を見つめる光を想像する。そして、俺も光と同様に読者の目を見つめる。同じように、読者はそれを想像する。

読者の心の中に爽やかな風が吹く。優しい光が読者を包む。

俺と光は目でアイコンタクトを取る。そして、小説の最後を飾る台詞を口にした。

「「せーのっ! ご愛読ありがとうございましたっ!」」

この文章が出てくるのは、冒頭と終盤とこの一行上の文章の計三回。この小説のタイトルにもなっているこの文章は、読者に冒頭や終盤とは少し違った印象を与えた。

そして、読者は、あなたは心地よい読後の爽快感を噛み締めながら小説を閉じた。

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ご愛読ありがとうございました 大和田大和 @owadayamato

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