概要
私たちは行進する。
40年前、世界各地の海に落下した小隕石がすべてを変えた。生命を育んでいた海はその性質を変え、蒼は黒になり、有機物を分解して未知なる異常分子へと変換するようになった。そして、溶けた生命は巨大な黒い塔、異常分子構造体──通称“モノリス”を形成し、人類はそれらの存在を前提に生きることを余儀なくされた。
海洋資源が失われただけでなく、モノリスは時に、人の脳に作用し海へと誘う異常音波を発することがわかっている。現在では、海沿いに設置されたフェンスと監視塔、音を相殺する音響装置などによって対策がなされていた。
「海はすべての母って、そういう話、聞いたことある?」
「胎内回帰っていうの、知ってる?」
海へと消えたあの子の姿が、脳裏から離れない。
──歌が、聞こえる。
「海はすべての母って、そういう話、聞いたことある?」
「胎内回帰っていうの、知ってる?」
海へと消えたあの子の姿が、脳裏から離れない。
──歌が、聞こえる。
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