呪われた運命を受け入れる負けず嫌いで気丈な姫。彼女に齎された運命は…?

恋愛のファンタジーですが、私は主人公のアウゲ姫のヒロインとしての強さにやられてしまった質です。
生まれた時から全身から毒を発する体質に生まれてしまった王女のアウゲ姫。
毒を発するものは18歳で魔界へ嫁ぐ非情な運命が定められている国で、誰とも触れ合うことができないまま成長したアウゲ。

しかし彼女は捻くれるでも、自らを悲観するでもなく、負けず嫌いで気丈な性格を以てその運命を受け入れようとしていました。

その想いの根底には、自分の毒で周囲を困らせたくないと言うアウゲの人一倍優しい心があるのだと思います。強い子なのに運命をぶち壊そうとはせず、受け入れようとする彼女のいじらしさに心を打たれました。

そんな彼女の元へ突然やってきた、アウゲを全く怖がらないどこか風変わりな護衛の騎士のヴォルフ。今までにされたことのない扱いを受けたアウゲは戸惑いつつも、別れが来ると分かりきった相手に心を砕かないように振る舞うのですが…

そんな強い彼女の心の機敏と、ヴォルフの意図が合わさって物語は思わぬ方向へと進んで行きます。

読みやすい長さで気が付いたらすぐ読み終わっている、本当はもっと長い話だったように感じる構成の良さにも注目して欲しいです。

週末の読書にぜひお勧めします。

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蠱毒姫

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