ぬばたま様

作者 飯田太朗

66

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★★★ Excellent!!!

 ホラーとミステリーの共演! アナタはこの正体にたどり着けるか——?

 とある中学校を舞台に、じわじわと広がっていく「ぬばたま様」の噂。
 いじめを苦に自殺した生徒と、彼女をいじめていた生徒の周辺で噂が広がっていると知った主人公は、自分だけが知らないその「ぬばたま様」の謎を追う事に。

 曰く付きであるというこの地で、過去に起こった出来事。
「ぬばたま様」という伝承。
 生徒たちに次々と襲い掛かる不吉な出来事。
 ——だけど、私だけが「ぬばたま様」を知らない。

 少しずつ明かされていく呪いの真実と、主人公・恋本さんの秘密。
 その点と点が一気に繋がり、点在していた恐怖がぶわりと繋がる様は圧巻です。
 視点と構成がとても巧く、ホラーとミステリーの要素がありこちらも謎を一緒に追いながらもどんどん次を読んでしまいます。

 言いようのない恐怖が自分以外の知る所で広まっていき、やがては主人公もその恐怖に呑まれて——?

 あっと言うラスト。
 日常に溶け込んでそうな人の悪意。
 この作品を読んだ後、ふと夕暮れ時に、アナタも後ろを振り返ってしまうかもしれません。

★★★ Excellent!!!

ぬばたま様という、中学校に古くから伝わるある怪異を巡って、主人公の恋本さんが
謎が謎を呼ぶぬばたま様の正体の描き方が巧妙で、また一話、一話とつい読み進めてしまってページをめくる手がとまりませんでした。
ぬばたま様の呪いの正体、主人公の真意と目的が少しずつ重なり合って加速していくラストは圧巻でした。

特に主人公の恋本さん自身のことが少しずつ分かり始める後半がとても好きで、彼女自身のキャラの設定もすごく面白くてとても魅力を感じました。
ホラーが苦手でも読みやすい引きの強い、すごく面白い作品です!おすすめします!

★★★ Excellent!!!

本作は独自の怪談である「ぬばたま様」の逸話を元に展開していくホラー作品です。

「ぬばたま様」
それは遥か昔から伝わる伝承で、独特の印を結びながら死ぬ前に「ぬばたま様」と唱えると相手を呪うことができるというもの。
まずこのぬばたま様という怪異がとてもリアルで、学校に蔓延する噂の広がり方も都市伝説のそれととても似ています。要するに、本当にどこかにありそうでリアリティのある怖さ。
そんなぬばたま様の詳細を、主人公の恋本さんと一緒に読者も追っていくことに。

学校で度々目撃される黒い女。
一向に直らない人差し指の内出血。
突然遭遇する背筋の凍るような怪異現象。
そして少しずつ明かされるぬばたま様の正体。

舞台は現代ですが、ぬばたま様の発端となったであろう過去の出来事、「お鈴」にまつわる事件も並行して語られ、少しずつ怪異の真相に迫っていきます。

ミステリー要素も強めですが、もちろんジャンルはホラー。身の毛もよだつ様な恐ろしいシーンと共に全ての事実が明かされるクライマックスは必見です。
ホラージャンルにミステリー要素も加えた読み応えのある一作。ホラミスがお好きな方は、結末も含めてハマるはず!おすすめです。

★★★ Excellent!!!

最後まで読ませていただきました。
こちらは生徒会長の女子中学生が主人公のホラーミステリーです。
学校内で噂の「ぬばたま様」の謎に迫るストーリーで、過去と現在が交差しつつ、謎解きのような形で描かれています。
また、ホラー映画のような空気感が文章からも醸し出され、ゾクゾクする雰囲気も感じ取ることが出来ます。
ミステリー小説として、色んな謎を考察しながら拝読するのも楽しい作品だと思います。
主人公である恋本さんが物語のキーにもなるのですが、彼女の思惑や未来への希望、様々な思案がこの物語に絡み合い、とある方向へどんどん進んでいきます。
彼女が邁進する方角は果たして正しい道なのか。
私はこの話を読んで、教訓的な事を感じました。
その極地のラストをぜひ見守っていただけたら嬉しいなと思います。