どこにでもありそうな事象に、たまらない眩さを感じる

一貫して主人公加賀の目を通して、彼女のいる世界が描かれています。
それは深夜のコンビニで探す駄菓子であり、小学校のプールに侵入して泳ぐことであったり、バレー部の練習で木の棒をひたすら投げさせられるとか、そういう、何処にでもあるようで、でも絶対に彼女の中にしかないことです。
まばゆいようでいて、退廃的でもある。今思い出すと過去は輝いていたようにも感じ、しかしそれでいてどうでもいいことばかりだったような、そんな過去の思い出を読む人の中から引っ張り出してくれる文章の要は、静かで淡々とした、ある種の諦めさえ感じさせるような主人公の語りにあると思います。
きっと読む人はそれぞれに、加賀の心の動きから自分の中の過去を思い出すでしょう。
すごく不思議で、でもとても心に響くお話でした。ありがとうございました。

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