一度も会ったことがないのに、その人生には不思議と見覚えがある

過ぎ去った日々の回顧録風に進む小説。中学や高校のころの思い出をこんなに鮮明に思い出せるだろうかと自分に尋ねてみると、自信がない。そもそも運動部がだるく、たった一、二年生まれたタイミングが早かっただけの人間にでかい顔をされるのが嫌だったので、ひたすら体育会系的なものから逃げ続けて青春らしきものを送った記憶がない。

けれども読めば似たような感覚が想起されて、あのころ、同じ国で、同じ性別の身体に生まれて、近いことを考えたり感じたり感じなかったりしていた別の人格の別の人生があると考えるとどうにも不思議で懐かしい気持ちになる。続きが楽しみです。

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