蠱毒な姫は愛を知り、孤独から解放される

ギュンターローゲ王国第三王女のアウゲ姫は、全身から毒を放出するゆえに周囲から忌み嫌われて生きてきました。常時マスクと手袋をはめさせられ、彼女に触ることはおろか、誰かと同じ空間にいることすら許されません。そして18歳の誕生日には、魔界の王のもとへ嫁ぐことが決まっていました。
そんなある日、彼女の護衛を担当することになった騎士ヴォルフが現れることで運命は動き始めます。

命の危険があるからとヴォルフを遠ざけようとするアウゲ姫ですが、ワンコな彼はいいじゃんいいじゃんとばかりにグイグイ遠慮なく彼女の懐に入っていきます。しまいにアウゲ姫も絆されていき、やがて恋が芽生え始めますが…恋をすることすら許されない彼女はその想いを閉じ込めなければなりません。彼を想いながらも魔界へ嫁がなければならない、一度でいいから触れてほしい、そんな彼女の切ない想いがヒシヒシと伝わってきました。
負けず嫌いで周囲の陰口も跳ね返してきたアウゲ姫が、自分に負けそうになるシーンには胸を打たれます。

最後は意外な展開により物語はハッピーエンドへ。報われない人生を送ってきた彼女が掴んだ幸せを、ぜひその目で見届けてください。素敵な作品です。

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