概要
魔法少女とイジメと認知症の物語
スターライト☆キャンディチャイム――。
七色にきらめく。月の光さえ届かない、真っ黒に塗りつぶされた路地裏が。
〝魔法杖(マジカルステッキ)〟の先端からほとばしったのは、星屑のシャワー。
くぅおおと悲鳴を上げて、ぬらぬらと黒光りするナマズの怪人の姿が消えて無くなるのを見届けて、完了――の合図にわたしはその身を翻す。そして大きな星型の、だけど丸っこいフォルムの杖を振り下ろした。
怪人の残った魂とでもいうべき緑色の集合体が、ちゅどぉん、と音を立てて閃光するのを背中で感じながら、深く息を吐いた。
邪悪の消滅に、世界は元通りのかたちを形成し直していく。時間が動き始める。
差し込んできた月光が、フリルスカートのチェリーピンクを鮮やかに染め上げていった。
わたしは駆け出す。路地裏を。宵の
七色にきらめく。月の光さえ届かない、真っ黒に塗りつぶされた路地裏が。
〝魔法杖(マジカルステッキ)〟の先端からほとばしったのは、星屑のシャワー。
くぅおおと悲鳴を上げて、ぬらぬらと黒光りするナマズの怪人の姿が消えて無くなるのを見届けて、完了――の合図にわたしはその身を翻す。そして大きな星型の、だけど丸っこいフォルムの杖を振り下ろした。
怪人の残った魂とでもいうべき緑色の集合体が、ちゅどぉん、と音を立てて閃光するのを背中で感じながら、深く息を吐いた。
邪悪の消滅に、世界は元通りのかたちを形成し直していく。時間が動き始める。
差し込んできた月光が、フリルスカートのチェリーピンクを鮮やかに染め上げていった。
わたしは駆け出す。路地裏を。宵の
おすすめレビュー
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暗闇に蠢く怪人を、魔法装束に身を包み、魔法杖で倒すのが、魔法少女の、毎夜の、そしてこれからも続く毎日の宿命……のはずだった。
先代の魔法少女から、その座を譲られ、夜毎に悪を滅していた主人公。それは、先代の意志を継いだものだった。
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夜は、ファンシーな格好で人々を怪人から守る魔法少女。
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