「最後まで読んでよかった」と心から思える作品です。

「地獄にも花が咲くことを知ってる」。これはこの作品のキャッチコピーなのですが、ホントカッコいいですね。こんなの見てしまったら、思わず読んでしまいますよ。
作品の中身といえば、キャッチコピー以上に引力がありました。
そして読み終えて思ったのは、この作品には、このキャッチコピーしかないってことでした。

こちらの作品、「地獄」とある通り、読者のメンタルを削るほどのパワーを持っています。
殺し屋や殺人者などがたくさん出てきます。おぞましいシリアルキラーや、人の道から外れた人たち、常軌を逸した価値観を持つ人々、そんな怪物のような悪役が次々と現れます。主人公の一人がまず殺し屋で、主要登場人物はみんな仄暗い過去を持っています。
ですが、登場するキャラクターの背景や心理描写などが、本当に丁寧に描かれていて、好きなキャラクターや感情移入できるキャラクターを必ず見つけられると思います。特に主要人物たちは、話が進むほどにだんだんと、持っている信念を感じられるようになってきて、愛着がわいてくると思います。

基本的には、容赦ない展開の続く、血生臭く、シリアスで、重厚な物語です。
そしてそれ以上に、愛や命の尊さ、希望にまつわる物語でもあります。
一見、正反対の要素のようですが、自然に噛み合っていて、まるでもう一つの現実を見ているような気がするほどでした。

ボリュームのある物語ですが、だからこその面白さ、だからこそ得られる感情があります。
また、大枠のストーリーがありながらも、一つの章で切りよく事件が解決しますし、込められたテーマも章によって様々ですので、最後まで飽きることなく読むことができると思います。むしろ後半になるにつれて、「もっと続いてほしい」と思えてくるんじゃないかと思います。

魅力的な登場人物たち、群像劇としての面白さ、親しみやすい日常描写、迫力のアクション、謎めいた陰謀、明かされていく過去、都会的でクールな会話、とことん硬派ながら時に感傷的な文章、知能戦や泥臭い肉弾戦、荒廃した世界の細かな描写、などなど様々な魅力にあふれた作品です。

読んで間違いなしの傑作だと思います。ぜひ一度読んでみてください!

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