現代の藪の中

藪の中のオマージュというのに興味を引かれて読ませていただいたのですが、すごく面白い作品でした。あの有名作のオマージュですので、それだけでだいぶハードルが高くなってしまうような気がしますが、こちらの作品は軽々とそれを越えているように思えました。

本家と同じように、ある事件(あるいは事故?)の当事者たちが、当時を振り返り証言をしていく、という流れでお話が進んでいきます。
登場人物は当時全員が小学生で、十年以上の時間が経っていることもあって、証言の食い違いやあいまいさがすごくリアルで、生々しい恐怖を感じました。シチュエーションも不気味でありながらリアリティーがあり、未解決事件のような雰囲気もあいまって、すごく怖かったです。

リアリティーがありながらも、本家のような得体の知れなさや幻想性がしっかりあってゾクゾクしました。読み進めるほど情報が増えていくのに、どんどん真相から遠ざかっていくような感覚がたまりませんでした。