答えがないのが一番こわい

うさるさんのブログが大好きで長年読んできました。また、芥川龍之介の「藪の中」も大好きなので、そのオマージュということで、ものすごくワクワクしながら読みました。
短編ながら読み応えがあり、本当に本当に怖かったです。読み終わって思わず飼い犬を撫で回しにいくほどぞっとしました。
真相はわからないながら、読み手としては既にこの世のものではなくなったふたりの言葉に真実味を感じてしまいます。なんといっても、みんなが洞窟に行ったのが何回なのか分からないのが怖い。また、エナの言葉からは激しい憎しみが感じられるからみんなは恐ろしい方法で彼女を虐めていたのではないか、とか志水の聞いたコウタの言動を見るとあの渦の中に落とされるか洞窟に閉じ込められたのはひとりやふたりではないのではないか、と恐ろしい想像が勝手に広がります。そして、広がるだけ広がって明確な答えがわからない。それがやっぱりものすごく怖いです。いわくのある場にわだかまる黒いもの。田舎と子ども特有の排他性と残酷さが際立つ素晴らしい作品でした。