将棋を通して心通わす弟子と師匠のワンシチュエーション小説

毎週金曜日の深夜、大学の休憩スペースで高校生の弟子と大学生の師匠は将棋を指す。基本的にシチュエーションはその一つだけ。それだけなのに、様々な気持ちと情景が交錯する。

将棋を指すごとに二人の距離は近くなる。その歩みは遅いが、もどかしさを感じることはなく、しっかり確実に近くなる様子はどこか温かくてほっこりする。

そして、徐々に明かされる弟子と師匠、それぞれの事情。お互いが踏み出す一歩が同じ歩幅だからか、多少のトラブルがあっても安心して見ていられる。

秀逸なワンシチュエーション映画を彷彿とさせる物語の作り方が面白く、また将棋に馴染みのない人でもすんなり読める。

その他のおすすめレビュー

宇目埜めうさんの他のおすすめレビュー75