第26話 打ち合わせと準備

「それでですね、ぜひ菊夫さんに挨拶をしていただきたいと思っております」


 健司と美月は、瀬戸家にお邪魔している。

 美月の両親である菊夫とさくらに、食事会の式次第の案を見せながら説明しているところであった。


「えぇ…身内だけでやるのに、やっぱり挨拶が必要かい?」

「はい、ぜひ」


 渋る義父に対し、説得する健司。

 なにしろ、食事会とはいえ何も無しでは間が持たないのだ。


「お父さん、それくらいちゃんとしてよね」

 義母である、さくらさんも後押ししてくれる。


「ううむ、まぁわかったよ…」


 菊夫は、部下の結婚式での挨拶とかは経験があるが、自分の娘の結婚式である。どんなことを言えばいいのか…


「まぁ、身内だけですので。あまり、かしこまった内容でなくていいですから」

 健司は、本心で言った。結婚式の披露宴ではないので、かしこった場にするつもりはないのだ。


----


 こんなことを、健司の実家の両親にも話をする。


 それだけではない。

 結婚式場のスタッフの人と段取りの相談。

 持ち込み予定のワインについての相談。

 (持ち込み料を払ってでも、ワインは持ち込ませてもらうことにした)


 高橋ミキや先輩への、挨拶のお願い。


 平日にはできないので、休日にこれらの調整や準備を進めないといけない。

 結婚式とは…なかなか、忙しい。


 それでも、小規模なのでまだましなのであろうと思われる。

 しかも、健司と美月はハネムーン旅行と言えるほどの旅行は計画していない。

 いつも、お世話になっている那須のリゾートホテルを予約しているのみである。


 世の中の、他の新婚カップルはもっと大変なんだろうな…


 最近は、結婚式をやらない場合も増えているそうだが納得してしまうのであった。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る