第20話 結婚 美月Side
区役所の手続きはあっけないものでした。
もちろん、周りから一斉に拍手されたり、歌を歌われたりをされたかったわけではないのですけれど。
皆さんこんなものなのでしょうか。
やはり、結婚式をやることで実感が出てくるのかな?
その夜は、夜景の美しいレストランで食事。
月が昇ってきました。
満月です。
美味しい食事。これからは、ずっと健司さんと一緒に食事をしていくのか・・
健司さんを見ると、ちょっと恥ずかしそうにしている。
まだ酔うには早いですが、すこし顔が赤いです。
珍しい、その表情。
その表情を見ることができて、うれしい気持ちが出てきました。
夕食からの帰り。
月に照らされて、家に帰る道。
”そうか・・もう一緒に帰っても、一緒に住んでいても後ろめたい事なんかないんだ。だって、正式に家族になったんだから”
家に帰って木でドアを開ける。
自分の家。二人の家。
ようやく、結婚したという実感が出てきました。
でも、本当に実感したのは次の日でした。
次の日。
職場で上司に報告し、人事部への届け出を書く。
早乙女美月
自分の手で、その文字を書いた時・・・。
”あぁ・・名前変わったんだ。私、早乙女美月になったんだ”
しみじみと、その文字を見る。
まだ、ちょっと慣れないその文字。
”この名前、何度も書くともっと美しく書けるようになるかしら?”
自分でその文字を書くことでじわじわと結婚した実感がわいたのであった。
しかしながら、しばらくたったのちに嫌と言うほど書くことになったのである。
それは次の話で。
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