第2話 結婚式をやらない理由

 瀬戸美月が右手を上げてそっけなく言った。

「あ・・私、結婚式やらないよ」

「「え〜〜〜!?」」


 健司も菊夫も驚いた。

 さくらは、ため息をついた。


「だって、結婚式に呼ぶ友達なんていないし」


 そう。

 美月に友達と呼べる相手は、高橋ミキしかいない。

 そんな状況で、披露宴なんて・・・やる意味はないと思っている。


「あと、なんかいろいろめんどくさいみたいだし・・・。ブライダルエステとか」

 そして、美月は結構めんどくさがりである。

 そこまでして、結婚式を実施する理由が見つからないのである。



 健司は、困った。

 とても困った。


 なぜなら、健司としても積極的に結婚式をやりたいと思っていなかったからである。

 そもそも世の中の結婚式は男性はあまりやりたいとは思っていない。

 ましてや、健司はもう40歳。

 いまさら盛大な結婚式をやるのは気恥ずかしい。




 じゃあ、結婚式は無しにするか?

 ただ一つ、健司には大きな心配があった。




 それは、職場の同僚に聞いた話。

 その同僚も結婚式はやらなかったそうだ。

 しかし、結婚して5年後。奥さんがしみじみと言ったそうである。

 ”やっぱり、結婚式しておけばよかった・・・”




 そうなることは・・・避けたい。

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