本格派ダークファンタジー。これは呪いを解き放った罪を償う少年の旅路。

この物語の最初の見どころは、主人公のカウルが村の生贄に選ばれるところになると思います。秀逸なのはその後の村人の反応です。気持ち悪いような清々しい表情を見せ、カウルを祝福します。自分が生贄に選ばれなかったことを良いことに、手の平返しのようにそのような反応を見せていて、人間の業の深さが表現されています。

異形の物に対する恐怖の描写も必見です。カウルが解き放った呪いは当初、正体がよく分からない状況でただ凄惨な事態を引き起こしていきます。得体が知れないゆえに恐怖心をより煽るものとなっています。

重厚な設定がなされていますが、比較的読みやすく残酷描写もマイルドであり、本格派ダークファンタジー入門におすすめできる作品です。

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