切なくて温かい、魔術師の師匠と弟子と苦いコーヒーの物語。

 占いで未来を垣間見ることのできる、元占術師長のジーク。彼の下に、少年ドゥイリオが弟子入りしてきたところから、物語は始まります。

 どうやらあまり幸せな境遇ではなかったらしいドゥイリオは、けれど細々としたことにもよく気がつくし、どうやら占い——魔法の才もある様子。最初は気乗りしなかったジークもやがて、彼のことが気に入り始め……。

 占術師としては類稀な能力を持ちながらも、その能力ゆえに苦悩を抱えるジークと、こちらも何やら事情を抱えているらしいドゥイリオとのなんともほのぼのとした温かい魔法修行の日々から、やがて、彼らの過去が深く関わる思いもよらぬ展開に。

 何を書いてもネタバレになってしまいそうでうまく伝えられないのですが、たとえ未来を垣間見ることができるとしても、避け得ないことはいくらでもある。
 起こってしまった過去は変えられない。そうした厳しい現実に直面した時、それにどう向き合っていくのか。

 途中から本当にどうなるのーーーー!!っと、先が気になってどきどきしてしまうのですが、ぜひ皆さんにもこの結末を見届けていただきたい、そんな風に思える素晴らしい物語でした。

 おすすめです!

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