叶わないけど消せない想い。その傷を持て余す人へ。
- ★★★ Excellent!!!
誰かへの叶わない想いは、容赦なく胸に刺さって、痛い。けど、とは言えその棘を、抜く気にもなれない。
そんな人の心の矛盾を、さらさらと乾いていて、でも根っこのところでは湿っているという、やっぱりどこか矛盾した、不思議な言葉の雰囲気で物語ってくれる作品。
埋まりそうで、埋まるはずもない、でも欠かしてはいけない隔たりへの、想い。
小さな堤防でその心の揺らぎを押し留めようとする『僕』の、ささやかだけど深い葛藤は、きっと誰の中にも、いろんな形で、でも本質はおんなじ面持ちで、たゆたっているはず。
それを、気づかせてくれる。
思い出させて泣かせながらも、代弁して、どこか、清々しくさせてくれる。
もしあなたが、そんな想いを持て余して苦しいのなら、読むべき物語りです。