あらゆる世界を繋ぐ糸の起点は『異都奈良』にあり☆

奈良には不思議な魅力がある。
一歩踏み入れれば空間は歪み、周りの景色が刷新されるような趣を持っている。作中の『古都奈良』というBARにも、その不思議な世界観が詰まっている。

店に集まる者たちの虚空を見透かし、それを埋めるための料理を介して無から有へと展開するマスターの「六科」。口は悪いが根はいいやつで、料理の腕は国宝の域。料理に使う材料も拘りと造詣が深く、素材の良さを十分に活かしたメニューが咲き始めのカルミアのようにポンポンと登場するのだ。さらに、この作品の素晴らしいところは「器」にある。メニューに合わせた趣のある器を出して盛り付けることで、舌だけではなく目でも味わい、堪能できる筆使いとなっている。飯テロ要素がある中で、タグに「飯チラ」と表したのは、文字から美的な視覚効果を匂わせるチラリズムとも言えるのではなかろうか。作中で発揮された諸々の表現力は、企画参加者の中でも随一と言えよう。

以上が、第二章で記された「ハーフ&ハーフ企画」での美味しい一時だ。この『異都奈良』の世界観は、これからも果てしなく続く……今日もまた、飛鳥(奈良)の地に新たな異人が生まれているかもしれない☆

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