性格が悪いのと口が悪いのは別。話し方だけで誤解してはいけない。

 ひとこと紹介にある通りの印象を、12話まで読んで受けました。

 主人公は等身大の学生という雰囲気で、様々な不満を抱き、それを隠そうともしません。一人称で書かれているが故に、序盤の1、2話を読んだだけでは主人公に抱ける感情は、「嫌なヤツ」になるかも知れません。

 その後も、教師、母親、叔母と、皆、どこか乱雑な印象を受ける言動が見られるのですが、読み進めて行けば印象が変わっていきます。

 よく完璧は有り得ないという意味で「人間なんだから」といういい方をしますが、この物語の登場人物こそその言葉が最もよく当て嵌まるのだと気付けるからです。

 皆、どこか欠点を持っているけれど、それは人間が誰しも持っているし、また重要な情動というものであり、特に主人公はひとこと紹介にある通り「性格が悪いのと口が悪いのは別」と思わされます。相手の気持ち、立場を慮り、ストレスを抱く事なく相手を思い遣る言葉を出せるのは、フィクションにしか存在しない聖人だけです。

 主人公の性格は決して悪いのではなく、ただ口が悪い事で損をしているタイプなのだという事が分かってきます。

 そういう欠点を皆がそれぞれ持っていて、その筆致、描写に、本当に近所や、また教室に彼らがいるように感じるリアルな人間模様を感じられます。

 スナック菓子のような感覚で摘まむのではなく、毎晩の睡眠前、ベッドの中で読むのは如何ですか?