ぼくらのサイバーパンク21

「手放した愛を取り返すように、画面の向こう側の誰かに縋る。そんな惨めな現実を、それでも僕は『サイバーパンク』と言い張ってやるさ」
就職活動に失敗し、理想と現実の狭間で生き方を決められずに生きる若者、東崎元彦。彼の唯一の心の支えは、『無銘の天才歌姫』と謳われたVtuber、浅茅史乃の配信だった。
そんなある日、突然「電脳葬儀法人ビフロスタ　総代」を名乗る謎の人物、俵原から衝撃の事実を告げられ、協力を迫られる。
「『浅茅史乃』が何者かに簒奪された。本物の『浅茅史乃』は既に死んでいる」

令和３年。冬。
かつて人を縛った秩序は崩れ、それでも楽園は未だ遠い。そんな時代に生まれたぼくらの、最後のサイバーパンクがはじまる