架空の仕事、架空の物語。されどこれはリアル。

タイトルは身構えてしまいます。「セックス」に加えて夜を想像させる「月光」。
ですが内容はとても真面目で、架空の保険でありながらその仕組みやサービスなどは現実に存在していても納得できるリアリティの上に成り立つ物語だとすぐに認識できます。現実にも多くの人を苦しめる性についての多様な問題を無理なく一つにまとめ上げられる世界観は秀逸です。
また、作中において主人公たちに立ちはだかる問題も現実的なものとなっていて、されどエンタメとしても考慮されている。リアリティとフィクションのさじ加減が素晴らしいです。個性豊かで人間味溢れる登場人物たちも生き生きしていて、それぞれの長所がきちんと物語の展開に絡んでくるのもいいところ。
短編連作形式で難しい表現もなく、読みやすいスタイルとなっておりますので、ぜひ一度、読んでみてください。

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