概要
クラスメイトの彼女は、ただ、そこにいた。
僕は声を掛けることもできず、夏は、冬になった。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!白くならないようにそっと寒夜へ息を吐く、ような。
男子高校生の語りが、ぽつりぽつりと同級生の女子を描き出す。夜の公園に姿を見つけてから二人が交わるまでは長く、その交わりだってごく淡いものと言っていい。
けれどこれは紛れもなく青春の話だと感じるし、彼は大人になって、一種の痛痒さと共にこの夜のことや交わした会話を思い出すのではないだろうか。
悩みは誰にもあるものだけど、誰もが自由に悩みを語れるわけではない。もっと辛い人がいるのだから。こんな小さなことで。そういう考えは内に外に吐露を妨げる。
やっとこぼれた言葉は、寒いのに白くならない密やかな息のようだった。地の文の体言止めや読点のリズムがその印象を強くしている。
思春期の不自由さや、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夜と朝の狭間で二人は出会う。
深夜という時間帯は、どこか不思議だ。
日付は変わっているのに、まだ朝にはなっていない。
この作品は、そんな深夜の物語。
町が寝静まる深夜。
主人公は飲み物を買いに、自販機へ向かう。
通りかかった公園で見かけたのはクラスメイトの姿だった。
***
どこか不思議な雰囲気の物語だ。
短く区切られた文が並ぶ。
独特なリズムは詩のよう。
すらすら読めて、するりと心に入り込む。
深夜に外出するという不思議な特別感が、夏のじわりとした暑さとともに描かれている。
ところどころに光る個性的な表現が面白い。
「冷蔵庫の中、普段ならあるはずの麦茶はなくて、流しに空っぽの容器が転がっていた。」
こ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!今日もまた、今日が終わっていく
なぜか深夜の公園に居る同級生。
気になって、気になって、でも声を掛けることは無くて。
でもある日、声を掛けるきっかけが出来て二人は言葉を交わす。
気になるあの子の名前は並木さん。
彼女の言葉一つ一つが、学生の等身大の哲学を内包していて、グッと引き寄せられました。
しかしこの頃に抱く悩みって言うのは、学生特有と言うわけではなくて、ちょうどこのときから悩み始めがこのときってだけの話だったりして、そのうえ多分一生解決しないタイプの悩みだったりするんですよね。
誰かと比べてどうか。上でも下でもみんな口をとがらせる。
結局、人間ってのは、学校でも会社でも田舎でも都会でもネット上でも、同じ悩みをずっ…続きを読む