何も為さずして王となった男の掌には、最期に何が残ったのか

非常に整然とした無駄のない文章で綴られる、ある男の生涯の話です。

王の息子として、愛を知らずに育った彼は、冷酷な打算と偏執のみで親族を陥れます。
彼の計画は滞りなく進み、いっときは全てを手に入れたように思えたのですが……

読了後、『因果応報』という言葉を思い起こすとともに、どうしようもなく遣る瀬無い気持ちになりました。
誰か一人でも彼に愛を与えてくれる人がいれば、何か違っていたでしょうか。
それとも、やはり同じ道を辿ったでしょうか。

1万字以内とは思えない、読み応えのある物語でした。面白かったです!

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