概要
俺は、誰一人殺せないまま、玉座を簒奪した王となった。
王国には、王子が二人いた。一人は狷介な兄王子、もう一人は穏やかな弟王子。二人は長じて妻を娶り、それぞれの道を歩み始めた。
五話完結。一万字程度の短いお話。毎夜22時連続更新。小説家になろうにも同時掲載しています。
五話完結。一万字程度の短いお話。毎夜22時連続更新。小説家になろうにも同時掲載しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!孤高の魂に足りないものは?
偉大な王。その息子兄弟の兄である『俺』は、はっきりとそう語ります。
父親がなぜ自分を疎むのか、『俺』には柔弱で無能に思える弟ばかりを持ち上げるのはなぜなのか。
分からないまま。満足に知ろうともしないまま、『俺』は父と弟を見限ります。
世の常に従い、自身が王となるとき。『俺』は不満を募らせ、やがて爆発させました。
気に入らない。
気に入らない。
気に入らない。
あれこれ考えはするものの、『俺』の答えはどれもそうです。
手当たり次第、なにもかもを手に入れた時。『俺』はどうやってそこへ辿り着いたか、知っていました。
ようやく、本当に欲しいものを手に入れたのか。それとも今までと同じに、一時的な欲…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰よりも認められたいという自尊心に翻弄された人生が切ない作品です
偉大な父王と、穏やかで控えめな弟。
息子であり兄である語り手は、二人への歪な感情を抱きながら成長し、その自身の心に運命を翻弄されていきます。
歪んだ感情が、けれど文章から切実に伝わってくる作品でした。
偉大な父に自身を認めてもらいたい。
誰が抱いてもおかしくはないその感情が歪みを見せたのは、自分よりも劣ると思っていた弟と自身が父から対等に扱われたことに対する、小さな不満からだったように感じられます。
父王は平等に、公平に二人の子を愛そうとしているようですが、自尊心が強過ぎたが故、語り手はその「公平さ」を受け入れられなかったのではないかと、私には思われました。
自分こそが最も認められるべきだ…続きを読む