それは繋がる言葉と繋げる言葉、藍のインクでひとつ《線》を

言葉というものにはなにかを繋げるちからがあるとおもっています。
例えば挨拶ならば人と人を繋げ、手紙ならば遠い距離…時には時間までもを越えてこころを繋げたり、小説ならば現実とは違うせかいに繋げる扉になったり。
これもまた、言葉が、ふたりの少女を繋げる物語です。

図書室の本棚に《しりとり》とだけ書かれた一冊のノートを発見した《わたし》はそこに言葉を書き入れます。見果てぬひととの言葉の交換。はじめはただの奇麗な響きの単語だけのやり取りでしたが段々と言葉は長くなり、遂には磨きぬかれた二十二文字の詞となるのです。
それらの詞は音楽のように時にあまやかに、時に激しく、綴られていきます。二重奏のように絡まるふたりの《繋がり》――《わたし》は想像せずにはいられません。紙のむこうにいる《誰か》を。

そうしてそれは、読者もまたおなじ。

情緒あふれる美しい文章で綴られる青い春。秘密めいた言葉の流動。そうして青く、瑞々しい少女の成長。
線をひき、線が結ぼり、線は解かれる。
ため息が洩れるほどに堪能させていただきました。
ああ、藍色の流麗な文字が、いまにも目蓋の裏に浮かんでくるようです。

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