空気感のある小説というものはとても希少です。
まず、描写が巧くなければならない。ですが、語彙があって、読みやすく巧妙というだけでは空気感というものは産まれてきません。
存在感、実在感。
ここにあるという触感。あるいは読者そのものが作中のうちに取りこまれるような。
この小説を読み終えて、なにより強く感じたのは「巨人がいた」ということです。
読みはじめてから読み終えるまで、あるいは読み終えたあともしばらく、そこに確かに「巨人がいた」!
そんな稀有なる読書体験、ぜひともひとりでも多くの読者様にして体感していただければ嬉しいです。