音楽とともに、人生の歯車が回り出す

星音堂という音楽ホールを舞台に、様々な人が織りなす人間ドラマです。

音楽を聴くのはすごく好きだけど、楽器が出来たり歌がうまかったりするわけでもない私。憧れとともに、嫉妬や劣等感、疎外感さえ感じてしまう音楽のプロが集う世界…。
作者のうさこ様もほぼプロ並みの博識で、作中でも専門用語や音楽論が飛び交いますが、しかし、主人公の蒼(音楽の知識ナシ)をはじめ、音楽をこじらせた人、夢半ばで他界してしまった人、下手の横好き、偉大な音楽家の親を持って葛藤している人など、ただ「音楽って素晴らしいでしょ!?弾けるとかっこいいでしょ!?」というドヤァ!じゃない視点がたくさん出てきて、あっちからこっちから、「音楽は、色んな立場からそれぞれ楽しむもの」という、多角的な在り方を提示してくれます。これが本当に有難いし、真理だと思います。

星音堂で職員として働く蒼くんと、そこに演奏の練習に訪れる関口くん。音楽の在り方と、家族や人生に葛藤を抱える二人の青年の在り方がリンクしたり対比となりながら進んでいき…最後のコンサートの後の雪融けは本当に天晴れでした。

音楽好きな人はもちろん、こじらせている人にもぜひ読んで欲しい作品です!!

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